<段戸句会の吟行-三渓園

平成23年10月13日(木)に平田冬か先生のご上京の機会を得て、2年ぶりの段戸句会吟行会を横浜三渓園で開催いたしました。また、今回は高校6回生の同期会の方々から俳句に触れてみたいとのご希望があり、合同の句会となりました。
当日は秋晴れの好天に恵まれ、室町時代から江戸時代までの様々な建築物を有する美しい庭園を巡りながら秋の一日を満喫しました。庭内では目に触れる一つ一つの季語について冬か先生から懇切丁寧な指導をいただきましたが、先生のヒントで会員の一人が大芒の根元を掻き分け掻き分けて行き最後に思い草という可憐な花を見付けるという一幕もありました。
その後、会場を高校6回生の方にお世話いただいたYC & ACのクラブハウスに移し、昼食会、句会が行われました。句会に先立ち、先生から俳句の素晴らしさ、日常での俳句との触れ合い等につき大変分かりやすく感銘深いお話をいただく一方、句会では直接丁寧な添削指導をいただき会員一同にとって大変有意義な会となりました。

<平田冬か先生作>   
掻き分けて分けてなほ奥思ひ草  平田冬か 
色鳥来今日は茶事なき蹲踞に  平田冬か 
<特選>   
色鳥来飛天の彫らる鞘堂に  山崎圭子 
<入選>   
かつてここ豪商の邸小鳥来る  本多悠天 
こんなにも緑の深き新松子  新井康夫 
畑隅の堆肥の脇の小菊かな  杉原洋馬 
蔀戸を上げて客待つ萩の庵  小森葆子 
大振りの榾の積まれて合掌屋  宮田望月 
庭園をそぞろ歩きて秋を聴く  中島彩 
絹長者茶室は質素竹の春  野村親信 
恥づかし気露はにされし思ひ草  鈴木寛 
折れ折れに破れに破れ風の蓮  深谷美智子 
四阿の古ぶもよろし新松子  鳥山卓司(来賓) 
宝塔の影の端正池水澄む  三塚昌子(来賓) 

レポート 段戸句会世話人 野村親信(高16回)

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<段戸句会の吟行-新宿御苑吟行-

秋晴れの吟行会
11月18日、冬か先生のご上京の機会を得て、段戸句会は吟行会を催しました。当日の新宿御苑は青空の下、心地良い小春日和でした。折りしも園内には菊花展が開かれ落葉や草の絮が舞い、池には紅葉黄葉が映えていました。季語を拾いつつ、冬か先生より季語の本意や使い方を伺いながら秋を満喫いたしました。苑での昼食後、会員のお世話下さった会場へ移動しての句会。冬か先生より各句への解説がありました。「季語のある情景を捉えて絞り込む、そのイメージを拡げて情景が読む人に伝わるように十七字に纏めるように」とのお話は、当日共に歩いた私達には理解し易いものでした。段戸句会では隔月のネット投句に先生の選と添削句に対する丁寧な解説を頂いていますが、吟行で共に見ながらの句会は楽しく、大変有意義なものでした。

新宿に御苑のありて鳥渡る       冬か
妹背鳥翔び別かるるも遠からず     冬か
自然園括らず刈らず萩黄葉       冬か

一葉落つ緑をとどめしままに落つ    望月
満開の十月桜色ほのか         剛司
青空に落葉かざせば虫の穴       寛
ひとひらの又ひとひらの落葉かな    美智子
武蔵野の面影残す落葉かな       康允
桐一葉次はと樹上見上げけり      悠天
青竹の屋根をさしかく菊花展      雪音
大輪の菊三百余一株に         洋馬
秋天を占め悠然と鳶一羽        葆子



前列左から二人目 主宰 平田冬か氏

レポート 小森葆子(高13回)
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高16回 大野朝香(朝子) 様 は 2008年6月末 逝去。
過去4年間にわたって私たちの句会に毎回参加して下さったお仲間の大野朝香(朝子)さんが6月末に亡くなられました。享年63歳でした。故人の冥福を祈るとともに彼女の去った後も残る私たちで句会を盛り立てて行きましょう。杉原洋馬
特選句:寝ころべば花の棺ぞげんげ畑   朝香
弔 句:娑羅落花無垢の白さのままにかな 冬か

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