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令和7年5月の入選句(兼題:「梅雨」、「ビール」)
<特選> 3句
<派出所のデスクぽつんと梅雨に入る>
デスクがぽつんと置いてあるだけでがらんとしている町の交番の様子です。今梅雨の最中の方がふさわしいように思います。
<地ビールの試飲楽しや北の旅>
北国は地ビールの美味しいところが多いように思います。試飲というよりもそれを目当てぐらいの方が楽しい。
梅雨に湿らしてしまうと大事な経典が黴るのでそれを恐れているのでしょう。
<その他の入選> 13句
無錫旅情青島(チンタオ)ビールぬるくとも
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宮田望月
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日本の冷たいビールに慣れていたら旅先でのぬるいビールは期待外れかも知れません。でもそれも旅の想い出としているのがいいです。
<病む我に追い打ちかける梅雨湿り>
病む身に追い打ちと言っているのですから湿り気より冷えの方が納得がいきます。「追い打ち」がきつ過ぎるように思います。からだに「障る」という表現がいいと思います。
<羽織もの一枚重ね梅雨の街>
梅雨の街でなんとなく肌寒く感じ一枚羽織るものが欲しと思ったことにします。
<楡木陰ベンチ軋ませビール酌む>
ベンチを軋ませることは特に効いてないように思います。楡の木陰に出会いそうな場面が分かるように詠み込みます。
<くぐもれる鳥の鳴き声雨意の朝>
「雨意の朝」だけでは季節感がはっきりしません。下五を「梅雨深し」としますと鳥のくぐもり声に相応しくなります。
<たんぽぽの綿毛一吹き旅立ちぬ>
原句でも良いと思いますが、「散りぢりに」とすれば見たままの素直な表現になります。
<風に揺れ青葉きらきら輝けり>
風に揺れているだけでなく、雨に洗れた雨上がりならきらきら光るのも納得できそうです。
<荒梅雨や飛沫にけぶる大鳥居>
飛沫は荒梅雨のものなので「荒梅雨や」と切らず「荒梅雨の飛沫」とした方がよいと思います。
<精進揚しつつ片手に缶ビール>
事実の報告に近いですが揚げ物が「精進揚」と言うのが「ビール」とギャップがあっておもしろいと思います。
<苔寺の庭師の笑みや梅雨深し>
理屈ぽい内容にせず、苔寺の苔の手入れに余念のない庭師の様子から梅雨を喜んで いることが伝わるようにしたいです。
<ごみ出しの新聞重し梅雨じめり>
ごみで捨てるのではなく資源ごみに出すのではと思います。重いことは言わなく ても伝わりそうです。
<梅雨の堂鴬張りの音清か>
鴬張りの廊下を踏んでみたら梅雨にもかかわらず音がさやかであったという意外 性が分かるようにしたいです。
<菖蒲湯に心身委ね英気満満>
「心身委ね」は省けそうです。菖蒲の爽やかな匂いに英気を養ったことだけでよいと思います。
以上
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