段戸華教室
段戸会副会長でもあり、華の作家として日本及び海外で幅広くご活躍中の
水谷鏡子さん(高14回)のご指導をいただき、
2011年6月19日(日)に、第20回段戸華教室を開催いたしました。

今回は参加者3名で、「フェゲタティブ(植生的)なアレンジメント」を
教えていただきました。


2011年6月19日

今回は自然に表現する方法を教えていただきました。

今までのレッスンでは、どちらかというと『デコラティブ』な
アレンジメントを習ってきました。

デコラティブなものは、花をぎゅっとまとめて
技巧を施して、美しさを際立てる、という作り方をします。

一方、『フェゲタティブ(植生的)』なアレンジメントでは、
自然の中で植物が生育している状態を再現するように、
作品を作っていきます。


ヨーロッパでは、15〜16世紀に
花をアレンジして飾ることが始まったそうで、
19世紀に初めて文献に記載され始めました。

ヨーロッパは石の文化で、自然を征服する、という
考え方をします。

一方、日本のいけばなの歴史は600年ほどで、
精神的な追求を基調としています。

今回のフェゲタティブ(Vegetative)なアレンジは、
西洋のクラッシックなデザインから一歩進んだ、
新しいデザイン(モダンスタイル)で、
花をぎっしりと詰めるのではなく、
空間やラインの流れを大切にします。

新しいデザインですが、
どこか日本のいけばなに通じるような、あるがままの自然を大切にする生け方です。


まず始めに、細長い形の花器に
フローラルフォームを入れます。

細長く切ったフォームに花器をかぶせ、
上から押し付けるようにしてきっちりと詰めます。

次に、花の長さを調節して切ります。
花器の長径の2〜2.5倍ぐらいが目安です。

今回使用した花器は左右に長く、
奥行きはそれほどありませんが、
その中でも、平面的にならないように、花の向きを考えて、
奥行きを感じられるように生けていきます。


また、高低も一律にならないように、茎を切る時に長短をつけます。

花器を左・中央・右とゾーンわけすると、
左(大・10)・中央(小・6)・右(中・7)ぐらいのボリュームのバランスで強弱をつけます。

中央はボリュームは少し抑えますが、やや手前に生けて、存在感を出します。



始めに、デルフィニウムという青い花を10本、
バランスをみながら挿しました。

次に、アリウムという紫色の大きな葱坊主のような花を、
高さに高低をつけながら、3輪生けました。

まるで花火のような大きな球形の花で、
この花が目を引くポイント(フォーカルポイント)になります。

これらの花で、おおよその基本構成ができたら、
そこに、さまざまな植物を加えて、より、自然な雰囲気に仕上げていきます。

アナベルというアジサイは、小花をシルバーワイヤー26番でまとめてから生けます。

グリーンとして使ったミントは、香りも楽しみながら生けました。

ルリタマアザミやスカビオサといった、丸いかわいらしい形の花も加えていきます。

白いふさふさのアスチルベ、ユウギリソウ、ハートグリーン、シュウカイドウなども加え、
花の足元のフォームを隠すように生けて行きます。

シュウカイドウは葉を支えるために、
24番のワイヤーを葉の裏に通します。

フォームが葉だけでは隠れない場合は、
緑色のコケを使って、覆います。

最後に、草むらにあるような
グリーンケール(コバンソウ)を挿すと、
ぐっと雰囲気がでてきました。


出来上がった作品を前に、お茶とお菓子をいただきつつ、さまざまなお話をさせていただきました。

今回は、震災直後、一度レッスンが延期になったこともあり、かなり久しぶりのレッスンとなりました。

つもる話に,、時間はいっぱい、いっぱい・・・

まだまだ、名残はつきませんでしたが、最後に、記念撮影をして解散となりました。

次回の詳細は、追ってHPでご連絡いたします。

初参加の方も、優しくレッスンしていただけます。たくさんの皆様のご参加をお待ちしております。

文責:西浦 瑞恵 (高45回)