2024年9月(兼題:「秋の田」、「七夕」、「葡萄」)
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<特選> 3句 |
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大利根の風吹き渡る稲田かな |
本多悠天
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色づく田大潟村の膨らめり |
鈴木寛 |
古城統ぶ丘また丘のぶどう畑 |
小森葆子
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<その他の入選> 15句 |
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葡萄畑眺めのワイン試飲かな |
本多悠天
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この星の平和を祈る星祭 |
野村親信
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早や酒精香る気配や黒葡萄 |
野村親信 |
をさな字のたどたどしくも星祭 |
太田眞澄
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曼殊沙華余燼を雨の叩きをり |
太田眞澄 |
不安ふと白ばかりなる彼岸花 |
杉原洋馬
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剪り取りて思はぬ重さマスカット |
深谷美智子
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軒ごとの七夕飾り路ふさぐ |
新井康夫 |
秋の田や風に乗りくる笛太鼓 |
鈴木寛
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テーブルに離婚届と葡萄皿 |
加藤雙慶 |
敬老日余所事今日も外出す |
市川毅 |
大銀杏間に合はざるも九月場所 |
市川毅 |
一房の葡萄白磁に艶めけり |
鈴木六花 |
店頭に筆と短冊星まつり |
山崎圭子
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切り取るやずしりと重き葡萄かな |
山崎圭子 |
2024年7月(兼題:「炎天」、「髪洗ふ」、「空蝉」)
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<特選> 3句 |
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髪洗ふ付けたばかりの名を呼びて |
野村親信
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炎天を来て炎天へ郵便夫 |
小森葆子 |
明日より観音巡り髪洗ふ |
新井康夫
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<その他の入選> 25句 |
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髪洗ふ術後五日目許されて |
本多悠天
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炎天下白洲広ごる矢作川 |
本多悠天
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今日は今日明日は明日髪洗ふ |
小森葆子 |
炎帝の威の届かざる高野山 |
小森葆子
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炎天下バス待つ人は皆無口 |
新井康夫 |
忘れたき今日の一些事髪洗ふ |
深谷美智子
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炎天を行く一行のみな無言 |
深谷美智子
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結界のロープ空蝉数珠つなぎ |
山崎圭子 |
菩提樹になんと空蝉縋りをり |
山崎圭子
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明日信じねんごろに髪洗ひけり |
宮田望月
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すさまじや庭木にびしり蝉の空(から) |
宮田望月 |
裏の葉にすがる空蝉透けにけり |
太田眞澄 |
吊り革の二の腕白し冷房車 |
太田眞澄 |
老人に死ねとばかりの暑さかな |
杉原洋馬
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髪洗ふゴシゴシと脳活性化 |
市川毅 |
空蝉や古里すでに家族なく |
鈴木寛
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太陽の怒りゐるかの炎気かな |
鈴木寛 |
羽広げ川鵜悠々炎天下 |
鈴木寛
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今日の憂(う)さ忘れん髪を洗ひけり |
鈴木六花
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空蝉のその響まで悲しげに |
鈴木六花 |
大欅まるで占領蝉時雨 |
中島彩 |
朝顔のやうやう咲きし朝かな |
中島彩 |
髪洗ふショートカットに憧れて |
北川和子
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空蝉の遺品の如く残りをり |
北川和子 |
母になる予定日はすぐ髪洗ふ |
野村親信 |
2024年5月(兼題:「立夏」、「帰省」、「金魚」)
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<特選> 3句 |
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震災の仮設住宅金魚飼ふ |
野村親信
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物言ひたげに浮かびくる金魚かな |
鈴木寛 |
帰省せず八丁味噌を買ひにけり |
本多悠天
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<その他の入選> 24句 |
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江ノ電のどつと人吐き夏来る |
本多悠天
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帰省子の髭に一家の意見割れ |
本多悠天
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アクアリュウム金魚万匹泳がしむ |
宮田望月 |
琉金の薄ぎぬめける尾びれかな |
宮田望月
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金魚糶る声なく符牒水槽へ |
小森葆子 |
面倒をみる約束に金魚飼ふ |
小森葆子
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街中のロープウェにも初夏の風 |
新井康夫
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青嵐吹かるるままに円覚寺 |
新井康夫 |
帰省すや町に駄菓子屋無くなれり |
太田眞澄
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のど飴を離すことなく夏来たる |
鈴木六花
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分譲地嘗てしきりに不如帰 |
杉原洋馬 |
はためける力士の幟夏来たる |
鈴木寛 |
黴くさきアルバムを繰る帰省の子 |
鈴木寛 |
帰省子の早やも戻りぬ国言葉 |
深谷美智子
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庭眺めゐて帰省子の所在なげ |
深谷美智子 |
唐突に色翻す金魚かな |
市川毅
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翻る金魚の火焔めきにけり |
山崎圭子 |
箱生簀金魚群ごと糶られけり |
山崎圭子
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朝散歩今年も聞きぬホトトギス |
中島彩
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山の色深まる夏となりにけり |
中島彩 |
単線の母なき駅に帰省せり |
加藤雙慶 |
俳徒吾に季語の溢るる夏来たる |
野村親信 |
日曜の朝刊薄き立夏かな |
野村親信
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三日早や帰省子都恋しがる |
野村親信 |
2024年3月(兼題:「春惜しむ」、「春潮(春の波)」、「蝌蚪(お玉杓子)」)
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<特選> 3句 |
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春惜しむ癌病棟の窓越しに |
本多悠天
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墨汁の注がれしかに蝌蚪群るる |
新井康夫 |
大海を目指すもあらん蝌蚪の夢 |
鈴木寛
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<その他の入選> 19句 |
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また橋をくぐり隅田の春惜しむ |
本多悠天
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病窓に過ぎ行く春を惜しみかり |
小森葆子
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春潮と聞けば鳴門の渦思ふ |
小森葆子 |
紐ゆるる蝌蚪の誕生近からむ |
小森葆子
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里山の小池黒々蝌蚪生まる |
宮田望月 |
春惜しむ老いゆく視力思ひつつ |
鈴木六花
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春の空山をゆつたり送電線 |
太田眞澄
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ゆつたりと光を返す春の波 |
新井康夫 |
再会を約す指切り春惜しむ |
市川毅
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藍色に膨れ春潮ひたひたと |
山崎圭子
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泳ぐとは尾を振ることや蝌蚪忙し |
山崎圭子 |
蝌蚪生るる都会の池の片隅に |
深谷美智子 |
金継ぎのワイングラスに春惜しむ |
深谷美智子 |
杖さるる標本木や春遅し |
杉原洋馬
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石垣の石の隙間にすみれ草 |
中島彩 |
惜春のホームベースに寝転がる |
加藤雙慶
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駐車場遠まわりして春惜しむ |
北川和子
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なゐの町ともしびのごと白木蓮 |
北川和子 |
春潮の運び来し材丸味帯び |
野村親信 |
2024年1月(兼題:「春待つ」、「冬北斗・寒昴」、「読初」)
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<特選> 3句 |
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春を待つ殊に今年の能登はこそ |
鈴木寛
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果たせざる約束いくつ寒昴 |
深谷美智子 |
花時計遅れを直し春を待つ |
野村親信
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<その他の入選> 25句 |
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生命線見せ合ふ二人春を待つ |
本多悠天
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淡き色増え待春のショーウインド |
小森葆子
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読み始む栞はさみしページより |
小森葆子 |
マトリョーシカ窓辺に並び春を待つ |
深谷美智子
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読初は栞挿める頁から |
深谷美智子 |
読初や珈琲の香に包まれて |
深谷美智子
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読初は故郷舞台のミステリー |
太田眞澄
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E・Tの漕ぎゆく空や冬北斗 |
太田眞澄 |
枕元積みある一書読初 |
宮田望月
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姉に次ぎ弟(おとと)も逝きぬ冬北斗 |
新井康夫
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弔ひに降り立つ駅は雪の中 |
新井康夫 |
新司悼む心に仰ぐ寒昴 |
山崎圭子 |
志望校大書の絵馬も春待てり |
山崎圭子 |
春を待つマヌカンは早着替へたる |
山崎圭子
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水仙花苛立つ心鎮めけり |
市川毅 |
年賀状今年限りと書かれあり |
市川毅
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読初は旅の案内書あれこれと |
中島彩
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綿菓子のやうな雲あり春近し |
中島彩 |
目を閉づるまぶた温か寒昴 |
加藤雙慶 |
蝋梅の芯まで黄金光りかな |
杉原洋馬 |
春待つや能登の被災地想ひつつ |
杉原洋馬
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読初は健康長寿レシピ本 |
北川和子
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読初や活字大きな時代物 |
北川和子 |
朝日射し込みて輝く軒氷柱 |
鈴木六花 |
胎教にシンフォニー聴き春を待つ |
野村親信 |
2023年11月(兼題:「冬の雨」、「セーター」、「河豚」)
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<特選> 3句 |
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海峡の街の夕暮れ河豚の宿 |
北川和子
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ふうふうと河豚の口して河豚を食ぶ |
野村親信 |
讃美歌の漏れくる扉冬の雨 |
太田眞澄
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<その他の入選> 25句 |
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河豚刺身皿の模様を透かし見せ |
本多悠天
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冬空の昴煌々新司逝く |
本多悠天
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魁の箸ためらへる河豚料理 |
小森葆子 |
手をつなぎ揃ひのセーター老夫婦 |
小森葆子
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冬の雨いよいよ気持ち沈みけり |
新井康夫 |
聞かさるる長き講釈河豚の鍋 |
新井康夫
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ポン酢にも一家言あり河豚鍋屋 |
宮田望月
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借りしまま形見となりぬカーデガン |
鈴木寛 |
ほろ酔ひの頬に掛かれる冬の雨 |
鈴木寛
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お下がりのセーター姉の匂せる |
太田眞澄
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ゆくりなき再会祝し河豚汁 |
加藤雙慶 |
焼香に傘の並べる冬の雨 |
加藤雙慶 |
時雨るるや一幅の絵となる狭庭 |
鈴木六花 |
年齢は問はずセーター重宝す |
鈴木六花
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河豚刺しの皿大輪の花模様 |
山崎圭子 |
どことなく静かな目覚め冬の雨 |
山崎圭子
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捨てがたし母の手編みの古セーター |
中島彩
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早々と雨戸閉めたる冬の雨 |
中島彩 |
セーターの一着毎に想ひ出が |
杉原洋馬 |
てつちりを囲むはらから皆老いぬ |
深谷美智子 |
箒目をしづかに消しぬ初時雨 |
深谷美智子
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憂き心晴れざるままに冬の雨 |
市川毅
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しぐれ虹鉢植ゑ並ぶ路地の空 |
北川和子 |
ダム湖より立ち上がりたる冬の虹 |
北川和子 |
河豚刺しの端より箸にひと掬ひ |
野村親信 |
2023年9月(兼題:「鰯雲」、「新米」、「虫(全般)」)
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<特選> 3句 |
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旅めける夕べの散歩鰯雲 |
深谷美智子
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遠州灘へとなだれ込む鰯雲 |
山崎圭子 |
終バスの明かり遠のく虫の闇 |
太田眞澄
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<その他の入選> 20句 |
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満目のうねる田圃や豊の秋 |
本多悠天
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新米に今日はお代はり三杯目 |
本多悠天
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蚯蚓鳴く夜も更けたる旅の宿 |
新井康夫 |
妖艶な薫り一夜の女王花 |
新井康夫
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「虫の声」唄ひ虫の名思ひ出す |
小森葆子 |
掬ふ手をさらさらこぼれ今年米 |
小森葆子
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新米やよくぞ瑞穂の国に生れ |
宮田望月
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町中の空き家の庭を萩埋む |
宮田望月 |
酒蔵の裏へ回れば虫の闇 |
深谷美智子
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ふるさともこの空の下鰯雲 |
深谷美智子
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母のメモ通り新米研ぎにけり |
太田眞澄 |
鬱蒼たる牧野庭園ちちろ鳴く |
鈴木寛 |
今日まさに行合ひの空鰯雲 |
鈴木寛 |
吾が家の草庵に似て虫時雨 |
山崎圭子
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モンゴルの草原をふと羊雲 |
杉原洋馬 |
長き夜や夢と現を繰り返し |
市川毅
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遠富士の稜線見えて今朝の秋 |
中島彩
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彼岸花時を違へず咲きにけり |
中島彩 |
邯鄲の果たして鳴きぬ御師の宿 |
野村親信 |
鉦叩メトロノームのテンポかな |
野村親信 |
2023年7月(兼題:「熱帯夜」、「夏の果(夏終る)」、「どぜう鍋(泥鰌鍋)」)
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<特選> 3句 |
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隣席と背中合はせの泥鰌鍋 |
小森葆子
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夏の果拾ひし貝を耳に当て |
深谷美智子 |
板の間に素足の仲居どぢやう鍋 |
野村親信
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<その他の入選> 20句 |
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夏終る旅行計画倒れかな |
宮田望月
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熱帯夜寝苦し早やも暁烏 |
本多悠天
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起重機のワイヤきりりと炎天下 |
太田眞澄 |
鎮魂の遠き青空夏終る |
太田眞澄
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旅鞄使はぬままに夏終る |
深谷美智子 |
砂浜に流木光る夏の果 |
深谷美智子
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ゆく夏の神社の松の夕翳り |
鈴木六花
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後ろめたさあり雀蜂駆除をして |
杉原洋馬 |
夏終る旅の砂漠に夕日落つ |
野村親信
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父と子の恐竜図鑑夏休み |
北川和子
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ポツプコーン弾けるように雲の峰 |
北川和子 |
夢も見ずうつらうつらの熱帯夜 |
新井康夫 |
浴衣の子おもひおもひの店に群れ |
新井康夫 |
下足札貰ひ座に入る泥鰌鍋 |
山崎圭子
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夕鐘の余韻涼しき峡の里 |
山崎圭子 |
引きこもる日の続きもし夏の果 |
市川毅
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愛読書手沢のつくも紙魚つかず |
市川毅
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緑陰や五臓六腑の透き通る |
中島彩 |
水風呂に浸かつて見たく熱帯夜 |
鈴木寛 |
熱帯夜開けてぞ今朝は決勝戦 |
加藤雙慶 |
2023年5月(兼題:「夕焼」、「氷菓」、「向日葵」)
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<特選> 3句 |
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目の中に飛び込み來たる夕焼かな |
鈴木六花
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江ノ電を待つ夕焼の海を前 |
太田眞澄 |
脳髄の心棒揺する氷菓かな |
野村親信
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<その他の入選> 12句 |
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ひまわりや大股歩き早あるき |
宮田望月
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大富士のうすれゆくなる夕焼かな |
本多悠天
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天然の氷自慢の峠茶屋 |
小森葆子 |
夕焼けに故郷の城屹立す |
新井康夫
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山並の闇際立たす夕焼かな |
深谷美智子 |
夕焼や砂場に挿さるミニシャベル |
鈴木寛
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水平線眺めのベンチ氷菓舐む |
山崎圭子
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夕焼けに恥ぢることなき家路かな |
加藤雙慶
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振り向けば夕焼け小焼けの中に居り |
中島彩
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急ぎ足とどめたりけり大夕焼 |
市川毅
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家々の灯ともし頃や大夕焼 |
北川和子 |
麦秋や友は異国の大地往く |
杉原洋馬 |
2023年3月(兼題:「春疾風」、「厩出し」、「汐干狩・磯遊」)
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<特選> 3句 |
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牧開き青き草地はポニー用 |
小森葆子
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吹き飛びし選挙ポスター春疾風 |
新井康夫 |
大空を揺さぶれるかの春疾風 |
鈴木六花
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<その他の入選> 22句 |
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滿ち汐に追はれて戻る潮干狩 |
宮田望月
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土埃舞ひ上げ舞ひ上げ春疾風 |
鈴木六花
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すぐそこに海見ゆる丘厩出し |
本多悠天 |
脱ぎし靴母の番する磯遊び |
本多悠天
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春嵐着地よろめく鴉かな |
本多悠天 |
農大の畜産学部厩出し |
太田眞澄
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道場を拭く水にさへ春来たり |
加藤雙慶
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春疾風干し物一つ飛ばされぬ |
市川毅
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われさきに飛び出すもをり厩出し |
市川毅
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幼児の攫はれさうや春疾風 |
深谷美智子
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鬣に日の輝きて厩出し |
深谷美智子 |
磯遊び少年細き臑見せて |
深谷美智子 |
波追ひて父子の濡るる磯遊び |
鈴木寛 |
波の穂を追ひかけ追はれ磯遊び |
山崎圭子 |
何の穴かと掘りもする磯遊び |
山崎圭子
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天地(あめつち)に光溢るる厩出し |
中島彩
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奏楽堂楽譜を飛ばす春疾風 |
野村親信
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御嶽の裾野の広く厩出し |
野村親信
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ちさき手にちさき貝殻磯遊び |
北川和子
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思ひ出をいつぱひ残し閉校す |
北川和子
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春眠し俳句手帳はまだ白紙 |
杉原洋馬
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故郷へ近づく車窓山笑ふ |
杉原洋馬
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2023年1月(兼題:「冬の星」、「懐手」、「初湯」)
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<特選> 3句 |
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玉の緒をとつぷり浸す初湯かな |
山崎圭子
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断り状書きあぐねゐる懐手 |
深谷美智子 |
初湯して海に日の出を待つならひ |
小森葆子
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<その他の入選> 25句 |
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銭湯に顔触れ揃ふ初湯かな |
小森葆子
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懐手売る気なさげの古本屋 |
本多悠天
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懐手ほどくその手の所在なし |
鈴木六花 |
凍星や帰る故郷すでになく |
鈴木六花
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問はれたる道あごで差す懐手 |
新井康夫 |
シリウスの光ひときは冬の星 |
新井康夫
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真つ新なバスタオルの香初湯殿 |
太田眞澄
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目を凝らしゐれば殖えくる冬の星 |
深谷美智子
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磨かれしごとく凍星瞬ける |
深谷美智子
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入浴剤特に拘る初湯かな |
宮田望月
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手前味噌よき仕上がりの寒仕込み |
宮田望月 |
若湯して殊更ほめく髪膚かな |
山崎圭子 |
老海人の沖を眺めの懐手 |
山崎圭子 |
冬星座遠流の島の昔あり |
山崎圭子
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喰積に箸付くる順ありにけり |
市川毅
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冬の星見上げ歌ふは「運るもの」 |
加藤雙慶
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雛飾る普段人気のなき和室 |
杉原洋馬
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水面に湯気の立ちゐる寒さかな |
杉原洋馬
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正面に霊峰仰ぐ初湯かな |
中島彩
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やはらかに弾む木洩れ日春隣 |
中島彩
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烏飛兎走令和五年の明けんとす |
中島彩
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番台に福銭貰ふ初湯かな |
鈴木寛
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客席の後ろ前座の懐手 |
鈴木寛
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言ひたきを敢へて言はざる懐手 |
野村親信
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極楽は母の口ぐせ初湯浴 |
野村親信
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2022年11月(兼題:「冬夕焼」、「冬構」、「牡蠣」)
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<特選> 3句 |
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家事の間の寸暇を惜み毛糸編む |
小森葆子
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兼六園縄の香高く冬構 |
市川毅 |
一刀にして開け口を牡蠣打女 |
山崎圭子
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<その他の入選> 22句 |
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家々の影黒々と冬夕焼 |
鈴木六花
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楽し気や誰がため毛糸編むならん |
小森葆子
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街路樹の切り詰められし冬構 |
本多悠天
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昨日は生今日はフライに牡蠣料理 |
本多悠天
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鍋いつぱい牡蠣むしあぐる夕支度 |
北川和子 |
濡れ落葉色とりどりの礼拝堂 |
太田眞澄
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潮の香の豊かな牡蠣をすすりけり |
太田眞澄
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池によく映ゆる名松冬構 |
宮田望月
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遠山は影絵となれり冬夕焼 |
新井康夫
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行く秋や海は束の間静かかな |
新井康夫
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冬夕焼帰宅の足を止めにけり |
市川毅 |
口切や亭主の手元ゆるぎなく |
市川毅 |
幾たびも元の木阿弥落葉掃く |
杉原洋馬
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あつけなき友との別離冬夕焼 |
鈴木寛
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荒き骨組にビニール冬囲 |
鈴木寛
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家路へと誘ふチャイム冬夕焼 |
深谷美智子
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山並の影くつきりと寒茜 |
深谷美智子
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薪束を積む山荘の冬構 |
深谷美智子
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手の窪に確と納めて牡蠣を剥く |
山崎圭子
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冬構遺影の妻に急かされて |
加藤雙慶
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一斉に帰船水尾引く冬夕焼 |
野村親信
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ニコライの鐘の響交ふ冬夕焼 |
野村親信
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2022年9月(兼題:「落し水」、「とろろ汁」、「生身魂」)
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<特選> 3句 |
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芋二つ足して水車の良く回る |
小森葆子
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豊作を確信水を落としけり |
中島彩 |
擂鉢にわづかな罅やとろろ汁 |
深谷美智子
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<その他の入選> 17句 |
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とろろ汁鞠子の宿の丁子屋へ |
小森葆子
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争ひし石をずらして水落とす |
小森葆子
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水落し大河に戻しやりにけり |
本多悠天
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弓道に鍛へし姿勢生身魂 |
本多悠天
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鍋奉行今宵はとろろ汁奉行 |
宮田望月 |
落し水武相の空にひびきけり |
太田眞澄
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すじ雲の朝の空や新松子 |
太田眞澄
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ほかほかの炊き立てご飯とろろ汁 |
市川毅
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欠かさざるテレビ体操生身魂 |
山崎圭子
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落し水棚田それぞれ音違へ |
山崎圭子
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流し台下のあたりやちちろ鳴く |
新井康夫 |
香りして金木犀の咲くを知る |
中島彩 |
咲き尽きしかや朝顔を今朝は見ず |
杉原洋馬
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今はまだみどりの軸や曼珠沙華 |
鈴木寛
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どの路地も木犀かをるころとなる |
北川和子
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豊饒の音高らかに落し水 |
野村親信
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とろろ汁味もとろみも父好み |
野村親信
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2022年7月(兼題:「夏座敷」、「昼寝」、「蓮」)
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<特選> 3句 |
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作業ベルト外し園丁三尺寝 |
山崎圭子
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ゆふぐれの目覚め寂しき昼寝かな |
深谷美智子 |
あどけなき昼寝顔かな反抗児 |
小森葆子
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<その他の入選> 24句 |
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十畳を上下左右に昼寝の子 |
小森葆子
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水もらひ喜々と回れる釣忍 |
市川毅
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蓮の葉を大うねりさせ風渡る |
宮田望月
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簟(たかむしろ)艶光りして京町家 |
宮田望月
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海の風山の風くる夏座敷 |
本多悠天 |
青畳かぐはしきかな夏座敷 |
本多悠天
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夏座敷枯山水を眺めとす |
野村親信
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ひげを靡かせてアラブの外寝人 |
野村親信
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箱根路の瀬音よろしき夏座敷 |
太田眞澄
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蓮花の香の雅やか朝散歩 |
鈴木六花
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朝まだき苑に蓮見の人あまた |
鈴木寛 |
金色の相輪梅雨の空を突く |
大田武 |
西空に三日月赤き熱帯夜 |
大田武
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夏座敷冷たき水を以て拭きぬ |
中島彩
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仄と紅さして白蓮抽んづる |
山崎圭子
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衝立は深山幽谷夏座敷 |
山崎圭子
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昼寝覚暫くは夢うつつなり |
北川和子
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それぞれに高さ競へる蓮の花 |
北川和子
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わが居場所とつさに不明昼寝覚 |
深谷美智子
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海風のほしいままなる夏座敷 |
深谷美智子
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蓮の花親指姫も現れむ |
新井康夫
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大の字に寝転がりたく夏座敷 |
新井康夫
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昼寝なら覚めよと祈る枕元 |
加藤雙慶
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大望もなくて午睡の大鼾 |
杉原洋馬
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2022年5月(兼題:「山滴る」、「ハンカチ」、「熱帯魚」)
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<特選> 3句 |
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一滴が一滴誘ひ滴れり |
山崎圭子
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梯梧咲く沖縄返還五十年 |
鈴木六花 |
火砕流ありしと見えず山滴る |
加藤雙慶
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<その他の入選> 22句 |
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滴れる山を印象伊豆を去る |
宮田望月
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彩色の人智を超ゆる熱帯魚 |
宮田望月
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満を持すかに滴りのまだ落ちず |
小森葆子
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汕頭(すわとう)のハンカチ壁の飾りとす |
小森葆子 |
熱帯魚フリルのごとく尾びれ振る |
本多悠天 |
遠くよりSL響く初夏の風 |
太田眞澄
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待合室熱帯魚とも顔見知り |
北川和子
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軽鴨(かる)の子の早や自慢げに潜水す |
北川和子
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露天風呂滴る山を眺めかな |
加藤雙慶 |
まだきより汗拭き首に畑仕事 |
鈴木康允 |
滴れる山ふところにジビエ膳 |
鈴木康允 |
花のごとハンカチ膝に広げけり |
深谷美智子
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くしゃくしゃのハンカチ出づる体操着 |
深谷美智子
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ハンカチを振りておどける別れかな |
深谷美智子
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石南花の薄紅色に寺包む |
新井康夫
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藤棚に雉鳩の子の巣立ちけり |
杉原洋馬
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山滴る百名山の名を負ひて |
野村親信
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幾色の緑重ねて山滴る |
中島彩
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世の乱れ関り無げや熱帯魚 |
中島彩
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天下布武の城を頂く青嶺かな |
山崎圭子
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ランウエイ歩くモデルよ熱帯魚 |
鈴木寛
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ハンカチに無念の涙ぬぐひけり |
市川毅
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2022年3月(兼題:「春昼」、「昭和の日」、「若草」)
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<特選> 3句 |
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一億の民の過去帳昭和の日 |
鈴木康允
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若草の萌ゆる国境戦車行く |
杉原洋馬 |
若草に座り母子の絵本繰る |
小森葆子
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<その他の入選> 21句 |
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まどろめる彼の世此の世や春の昼 |
本多悠天
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「虚子百句」声出して読む虚子忌かな |
本多悠天
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やはらかな若草の風芳しく |
新井康夫
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旗振りしお召列車や昭和の日 |
宮田望月 |
聞こえくる校内放送春の昼 |
太田眞澄 |
若草に嬉々と転げる園児たち |
太田眞澄
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映画館の固き木椅子も昭和の日 |
小森葆子
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春の昼猫の欠伸の移りもす |
小森葆子
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春の昼ままごと遊び聞こえくる |
鈴木六花 |
春昼や止まりしままの掛け時計 |
深谷美智子 |
仄暗き歌声酒場昭和の日 |
深谷美智子 |
松の菰外す啓蟄日和かな |
市川毅
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春昼の時計の振り子伸びにけり |
杉原洋馬
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春の昼猫の背伸びを真似てみる |
中島彩
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春昼の針ゆつたりと花時計 |
山崎圭子
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切通し抜け若草の古道かな |
大田武
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墓周り早や若草の埋め尽くす |
鈴木寛
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終点まで乗るバスの旅春の昼 |
鈴木寛
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土塀よりぬっとたちたる夕桜 |
北川和子
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旧友の訃報が届く春の昼 |
加藤雙慶
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語り部といふべき母や昭和の日 |
野村親信
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2022年1月(兼題:「凍る」、「セーター」、「焼芋」)
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<特選> 3句 |
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焼芋の蜜の染みたる新聞紙 |
中島彩
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凍る夜や学習塾の窓灯る |
北川和子 |
街凍つるかに音のなし地震のあと |
市川毅
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<その他の入選> 21句 |
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やきいもの売り声追ひかけ買はんとす |
宮田望月
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凍て滝の内に水音ありにけり |
小森葆子
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な滑りそ夜半の道の凍ててをり |
小森葆子
|
小流れの光る辺りは凍つるべし |
本多悠天
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子のセーター借りもし傘寿若返る |
本多悠天 |
凍つるらし雨だれの音せずなんぬ |
新井康夫
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風呂吹きや八丁赤味噌に如くはなし |
新井康夫
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喜寿過ぎの明日へと開く初暦 |
太田眞澄
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御手洗の竜の吐く水凍て知らず |
山崎圭子 |
蓮の骨突き刺さるまま池凍つる |
山崎圭子 |
樟脳の匂ふセーター古箪笥 |
鈴木康允 |
凍星をちりばめてゐる大欅 |
深谷美智子
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焼き芋の焼け頃知らす匂かな |
深谷美智子
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蛍族ベランダ凍ててゐたるべし |
加藤雙慶
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凍て道を老いのペンギン歩きかな |
鈴木寛
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心字池点の辺りが凍りけり |
野村親信
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凍晴や透徹したる空の青 |
中島彩
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英字紙が石焼き芋の包み紙 |
大田武
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桶の水桶の形に丸く凍つ |
大田武
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凍て道や日向日陰のまざまざと |
杉原洋馬
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リハビリに向かう道すじ凍りたり |
鈴木六花
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2021年11月(兼題:「冬浅し」、「氷」、「葱・大根・白菜」)
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<特選> 3句 |
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村十戸いづれの軒も大根掛く |
小森葆子
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レシピなき鍋に白菜放り込む |
野村親信 |
梵鐘の余韻遠くに蓮枯るる |
太田眞澄
|
<その他の入選> 28句 |
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窓際のうたた寝日和冬ぬくし |
松尾直樹
|
大根を刻める音や朝餉待つ |
松尾直樹
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下校の子次々タッチ葱坊主 |
小森葆子
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白菜の括られ畑に樽並び |
小森葆子
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鳥の声少し尖りて冬浅し |
本多悠天 |
抱き合うて一家族らし寒の猿 |
本多悠天
|
今が旬利根のめぐみの深谷葱 |
宮田望月
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冬はじめ初めて出来し逆上がり |
太田眞澄
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靴先に触れてみもする初氷 |
北川和子 |
冬晴れや楓(ふう)高々と聳え立つ |
北川和子 |
冬浅く陽は山門にかたぶきぬ |
新井康夫 |
何なくも白菜漬けで酒す々む |
新井康夫
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爪はじきして耳澄ます氷柱かな |
鈴木六花
|
瑠璃色のつらら湯宿の軒先に |
鈴木六花
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白菜の根もとスパリと和包丁 |
鈴木康允
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手びねりのぐい呑み二つ冬初め |
鈴木康允
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つくばひに蓋したるかの厚氷 |
市川毅
|
綿虫の行き先はただ風任せ |
市川毅
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煮含めて鼈甲色の大根かな |
山崎圭子
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青空市積める白菜尻白し |
山崎圭子
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冬の朝へのへのもへじ曇り窓 |
加藤雙慶
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透明湖うすむらさきに結氷す |
野村親信
|
掃く向きに逆らひ舞へる落葉かな |
中島彩
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町会の消火訓練冬はじめ |
鈴木寛
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泥葱を剥けば輝く白さかな |
深谷美智子
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関東の空の広さや葱畑 |
大田武
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花八手華やぐことの無かりけり |
杉原洋馬
|
高々と皇帝ダリア皆背伸び |
杉原洋馬
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2021年9月(兼題:「良夜」、「新酒」、「渡り鳥(鳥渡る)」)
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<特選> 3句 |
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星々の常より近し野分あと |
深谷美智子
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新酒利く蛇の目は澄みて藍深し |
宮田望月 |
浮御堂影絵のやうな良夜かな |
山崎圭子
|
<その他の入選> 24句 |
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戸締りを少し遅らす良夜かな |
本多悠天
|
コロナの世関りもなく鳥渡る |
加藤雙慶 |
入り舟の水脈の一筋良夜かな |
小森葆子
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岬に立つ今日こそ鷹の渡るべし |
小森葆子
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再会を果たして酌める今年酒 |
北川和子 |
相模湾漁火見えぬ良夜かな |
宮崎勉
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新走蔵は有形文化財 |
鈴木康允
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書斎の灯あへて消しもす良夜かな |
鈴木康允
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風に乗り時に逆らひ鳥渡る |
野村親信 |
高空をくの字への字に鳥渡る |
野村親信 |
二拍子の研師の仕上げ爽やかに |
太田真澄
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代々の蔵に仕込める新酒かな |
太田真澄
|
ある時は横一線に鳥渡る |
市川毅
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炊き立てのご飯如(し)くなしとろろ汁 |
市川毅
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ふと外に出たくなりたる良夜かな |
鈴木六花
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雲間をば縫ひつつ鳥の渡りけり |
鈴木六花
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木犀の香に曲りたる路地迷ふ |
新井康夫
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大空を楽しむがごと夏の蝶 |
杉原洋馬
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帰路少し遠回りする良夜かな |
深谷美智子
|
大いなるへの字とはなり鳥渡る |
山崎圭子
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盃を傾けてゐる良夜かな |
中島彩
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光増す池の漣鳥渡る |
鈴木寛
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西方へ一羽の遅れ鳥渡る |
大田武
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鷹降下断崖に影滑らせて |
大田武
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2021年7月(兼題:「夏の雲」、「原爆忌」、「白靴」)
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<特選> 3句 |
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家事のままなる黙祷や原爆忌 |
山崎圭子
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白靴の砂の思ひ出由比ヶ浜 |
野村親信 |
夏雲や母校は坂の上にあり |
大田武
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<その他の入選> 21句 |
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夏雲をポップステップしてみたき |
小森葆子
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大空を変幻自在夏の雲 |
小森葆子 |
甲子園ぐんぐん伸びる雲の峰 |
本多悠天
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語部の少年老いぬ原爆忌 |
宮田望月
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原爆忌かの日のままにある瓦礫 |
鈴木康允 |
土寄せの鍬打つ朝雲の峰 |
鈴木康允
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白靴の出で来鎌倉資料館 |
宮崎勉
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白い鳩大空翔くる広島忌 |
山崎圭子
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切株の年輪いびつ原爆忌 |
太田真澄 |
科学の子立ち止まる日よ原爆忌 |
加藤雙慶 |
語り部の老ゆるばかりや原爆忌 |
深谷美智子
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陽の如く高きひまはり見上げけり |
新井康夫
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雲の峰霊峰富士を凌ぎけり |
中島彩
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夏帽子ただ黙々と庭手入 |
中島彩
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「ひろしま」を知らず令和の原爆忌 |
北川和子
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白壁の蔵を呑むかに夏の雲 |
鈴木寛
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いざ頼む老体昭和の扇風機 |
杉原洋馬
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白靴を手に砂浜を歩きけり |
大田武
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雲眺め雲見て飽きず夏の午後 |
鈴木六花
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被爆者のまた一人減り原爆忌 |
野村親信
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籠りゐてすでに雲居の空は秋 |
井脇浩之
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2021年5月(兼題:「夏野」、「清水」、「雨蛙」)
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<特選> 3句 |
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蛙鳴くときに輪唱ときにソロ |
小森葆子
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清水湧く地球の息吹上げるかに |
鈴木寛 |
全長を見せ貨車の行く夏野かな |
本多悠天
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<その他の入選> 20句 |
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跳んで知る足の長さや雨蛙 |
宮田望月
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紫陽花の花芽色つき初めにけり |
井脇浩之 |
リュック背に夏野の課外授業かな |
太田真澄
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草千里目の前にして氷菓舐む |
宮崎勉
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白南風や稜線しるき薩摩富士 |
宮崎勉 |
利き酒のやうに含める山清水 |
小森葆子
|
石清水口尖らせて啜りけり |
小森葆子
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戦跡の洞窟暗き夏野かな |
北川和子
|
道連れは流るる雲よ夏野行く |
深谷美智子 |
清水飲む首までしづく滴らせ |
深谷美智子 |
七堂の跡てふ一碑大夏野 |
山崎圭子
|
雨蛙保護色となり身じろがず |
市川毅
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掬ふ掌をするるこぼるる岩清水 |
鈴木六花
|
見てみてと開く子の手に雨蛙 |
鈴木寛
|
夕日落つ北の大地の大夏野 |
鈴木康允
|
コロナ禍になすすべのなく春行きぬ |
新井康夫
|
幾つもの緑集まる夏野かな |
中島彩
|
緑陰の一隅光る花は何 |
杉原洋馬
|
演習の砲声近き大夏野 |
野村親信
|
雲の影追ひかけて来る夏野かな |
野村親信
|
2021年3月(兼題:「花冷」、「目刺」、「春眠」)
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|
<特選> 3句 |
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花冷や客待ち車夫の膝を抱く |
本多悠天
|
ライトアップ消え花冷えの俄かかな |
小森葆子 |
朝食は一汁二菜目刺焼く |
鈴木康允
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<その他の入選> 16句 |
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土光さんの信念ちょぴり目刺焼く |
宮田望月
|
祝宴の果てたる夕餉目刺焼く |
小森葆子 |
春眠やサイレン遠く遠く聞く |
太田真澄
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小さき手を握りみどり児春眠す |
北川和子
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春眠や漢字検定本脇に |
宮崎勉 |
羽織るもの欲し花冷えの夜の帰路 |
鈴木康允
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居酒屋の恋しき自粛花の冷え |
新井康夫
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目刺焼く海の色焦がさぬやうに |
山崎圭子
|
温つたかいもの何か欲し桜冷え |
鈴木寛 |
花冷えや今宵のスープ実沢山 |
鈴木六花 |
目刺焼く後姿の母老いぬ |
市川毅
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咲き急ぎ散り急ぎたる桜かな |
中島彩
|
花冷えの鏡の中の己が顏 |
野村親信
|
春眠やコーヒー全く効き目なし |
野村親信
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花冷や昼を灯して小商ひ |
深谷美智子
|
春眠や心地よく聞く雨の音 |
杉原洋馬
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2021年1月(兼題:「冬深し」、「冬帽子」、「大根」)
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<特選> 3句 |
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大根引き首級の如く掲げたる |
大田武
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切干の軽し大根二本分 |
鈴木康允
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抜けとこそ競ひ乗り出す大根かな |
山崎圭子
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<その他の入選> 20句 |
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高層の窓の一つに懸大根 |
小森葆子
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踏切を待つ間の長し寒風裡 |
小森葆子 |
スワンボート岸に繋がれ冬深し |
宮田望月
|
不揃ひも吾が畑のもの大根干す |
本多悠天
|
冬帽も飛びさう怒涛前にして |
本多悠天 |
風花や幟はためく造成地 |
宮崎勉
|
冬帽子稚児すやすやと母の胸 |
太田真澄
|
明け空の宇宙は無限冬深し |
太田真澄
|
処々抜かれ歯抜けの大根畑かな |
山崎圭子 |
家居してひとり吟ずる初稽古 |
市川毅 |
大根を抜きたる闇の穴並ぶ |
鈴木康允
|
松飾るコロナ封じの願ひ込め |
新井康夫
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アルバムのあの時もこの冬帽子 |
鈴木寛
|
目覚めれば風の音のみ冬深し |
北川和子
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膜の張るホットミルクや冬深し |
北川和子
|
飛行場跡地の欅冬深し |
深谷美智子
|
仕草真似見るや遺愛の冬帽子 |
鈴木六花
|
冬帽子今朝も歩かん一里ほど |
杉原洋馬
|
不揃ひのラインダンスや干大根 |
中島彩
|
野良が好き母はいつもの冬帽子 |
野村親信
|
2020年11月(兼題:「冬晴」、「日記買ふ・日記果つ」、「枯木」)
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<特選> 3句 |
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三日月のひかかりゐたる枯木かな |
宮田望月
|
コロナ禍や余白の目立つ日記果つ |
i市川毅
|
寄生木(ほよ)の毬満艦飾の大枯木 |
山崎圭子
|
<その他の入選> 18句 |
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小春日や上着片手の昼下り |
本多悠天
|
長き竿届かぬ高さ柿残る |
小森葆子 |
炊飯の湯気の匂ひや冬の朝 |
太田真澄
|
続けられさうと一行日記買ふ |
太田真澄
|
冬銀河いよいよ風の荒びけり |
宮崎勉 |
生き様を残さん日記買ひにけり |
鈴木康允
|
鍛へしは自決のためか憂国忌 |
北川和子
|
電飾に夜は華やぐ枯木立 |
山崎圭子
|
裸木の千年公孫樹神々し |
鈴木寛 |
七曜のせはしく過ぎて日記果つ |
深谷美智子 |
冬晴れや遠富士少し近くなる |
深谷美智子
|
枯木には枯木の矜持ありにけり |
鈴木六花
|
疫除けのアマビエ褪せし時雨かな |
杉原洋馬
|
冬晴れや雄姿くっきり富士の峰 |
新井康夫
|
冬晴や東に筑波西に富士 |
大田武
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日記買ふ余生数ふる年となり |
中島彩
|
蔓手繰り手繰りて寄せぬ烏瓜 |
中島彩
|
月光に枯木の影の鮮やかに |
野村親信
|
2020年9月(兼題:「秋風」、「干柿」、「紅葉(全般)」)
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<特選> 3句 |
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秋風に筆心地良く走りけり |
野村親信
|
干し柿の陽の恵みなる甘さかな |
深谷美智子
|
ベランダの鉢の野草も紅葉づれり |
宮田望月
|
<その他の入選> 24句 |
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柿簾越しに声かけ道を訊く |
本多悠天
|
競技場人一人見ず秋の風 |
本多悠天
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秋風に辿る大仏切通し |
宮崎勉
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道のべに古る女人塚ちちろ鳴く |
宮崎勉
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奥社へと続くこの道紅葉濃し |
小森葆子
|
よく揺るる吊橋渡り紅葉狩 |
小森葆子
|
二階窓丈の揃はぬ柿吊るす |
小森葆子
|
秋の蝶ゆるりゆるりと遠ざかる |
市川毅
|
亀の子の泳ぐ手足のちぐはぐに |
太田真澄 |
紅葉狩り予報外れし今朝の空 |
太田真澄 |
カフェテラス花野の風のここまでも |
鈴木六花
|
雨あがり朽葉の上の散り紅葉 |
北川和子
|
四五連の柿干す路地の二階窓 |
鈴木康允
|
なほ奥の堂へ抜け道紅葉坂 |
鈴木康允
|
家ごとの拘り見ゆる吊し柿 |
山崎圭子
|
嘗てここ塩田の跡秋の風 |
山崎圭子
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瀬を速みゆくは紅葉の筏かな |
山崎圭子
|
忽然と庭の木陰に彼岸花 |
新井康夫
|
ホホヅキの日毎に朱色深まりぬ |
杉原洋馬
|
履きしままゴム長洗ふ日短 |
大田武
|
秋風とともに届きぬ友の文 |
中島彩
|
秋立ちぬ昨日に続く今日なれど |
中島彩
|
秋風や閉店目立つ商店街 |
鈴木寛
|
大学へ銀杏黄葉の道真直 |
野村親信
|
2020年7月(兼題:「暑し・極暑・炎暑等」、「海水浴・泳ぎ」、「蜘蛛」)
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<特選> 3句 |
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熱々のカレーうどんに暑気払ふ |
山崎圭子
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設計図通りか蜘蛛の網模様 |
市川毅
|
八十路にもときめきのあり更衣 |
杉原洋馬
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<その他の入選> 28句 |
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遠泳の果てたる浜にへたり込む |
本多悠天
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今日こそは決着つけむ炎暑行く |
本多悠天
|
街暑しドリアン売りの声過ぎる |
小森葆子
|
目指せるはシニア杯なり日々泳ぐ |
小森葆子
|
船泊り油膜漂ふ炎天下 |
宮崎勉
|
碧天に雲一つ無き原爆忌 |
宮崎勉
|
蜘蛛の囲の光る雨粒ネオン街 |
太田真澄
|
秒針の休まず刻む熱帯夜 |
太田真澄
|
炎天に姿勢崩さず六地蔵 |
鈴木康允 |
唇の青くなるまで水遊び |
鈴木康允 |
コロナ禍に人まばらなる海開き |
北川和子
|
泳ぎ終へこんなに体重きとは |
北川和子
|
蜘蛛の巣に引つ掛かりもす朝の道 |
中島彩
|
ここよりは神の領域木下闇 |
中島彩
|
くもの巣をコロナ退散魔除けとす |
宮田望月
|
手信号して潮浴びの子を呼べり |
山崎圭子
|
旧番所木戸鎖すままに蜘蛛の網 |
山崎圭子
|
かき氷頭の芯の痺れ来ぬ |
新井康夫
|
雪洞りの灯りゆかしき古都の夏 |
新井康夫
|
五月晴少し遠出に犬を供 |
杉原洋馬
|
石塀に影の貼りつく暑さかな |
深谷美智子
|
泳ぎ来し子を拭きやれば水匂ふ |
深谷美智子
|
蜘蛛の囲に蜘蛛居て風に吹かれけり |
大田武
|
掃除機に蝿取蜘蛛の吸はれけり |
鈴木寛
|
川の面を叩きに叩く大夕立 |
鈴木六花
|
水遊びみぎはに築く砂の城 |
鈴木六花
|
ライオンのたてがみ長き暑さかな |
野村親信
|
蜘蛛の囲の雨粒ダイヤ光かな |
野村親信
|
2020年5月(兼題:「立夏・夏来る」、「風薫る」、「薔薇」)
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<特選> 3句 |
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風薫り耳目一斉動き出す |
市川毅
|
薔薇摘花今宵はバラの湯にせんと |
小森葆子
|
記念日の卓に一輪赤薔薇 |
鈴木康允
|
<その他の入選> 31句 |
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縄のれんとはなる店や夏来る |
小森葆子
|
大の字に寝転ぶ夏の座敷かな |
小森葆子
|
紋章のバラ爛漫と公爵邸 |
小森葆子
|
向かひ合ふ二人に卓の薔薇かな |
太田真澄
|
さざ波を光らせて行く風五月 |
太田真澄
|
深呼吸また深呼吸風薫る |
本多悠天
|
ひなげしは風と仲良し揺れどほし |
本多悠天
|
空き瓶に薔薇の一輪吾が机上 |
市川毅
|
薫風や磴千段の奥の院 |
鈴木康允 |
奥入瀬の瀬音高まる立夏かな |
宮崎勉 |
初めての乗馬体験風薫る |
宮崎勉
|
サッパ舟棹差す娘花あやめ |
宮田望月
|
薔薇散華ボッティチェリのビーナスに |
宮田望月
|
垣根越し甘き薔薇の香届きけり |
鈴木六花
|
夕方のぶらり散歩や夏来る |
鈴木六花
|
薔薇一輪憂ひ秘むかの真紅かな |
中島彩
|
鶯の声に散歩の足止むる |
中島彩
|
結ひ上げし襟足眩し夏来る |
山崎圭子
|
踊り子像踊り出しさう風薫る |
山崎圭子
|
薔薇園のダマスク殊のほか香る |
北川和子
|
疫退散願掛け赤き薔薇飾る |
新井康夫
|
しだれ萩苑の順路を塞ぎもす |
新井康夫
|
草葺きの弥生の遺跡風薫る |
鈴木寛
|
コロナ除け深紅の薔薇を咲かせけり |
杉原洋馬
|
休講の続くキャンパス夏立ちぬ |
深谷美智子
|
デスティニーてふ名を負ひて薔薇真紅 |
深谷美智子
|
薔薇咲かせコロナ籠りの婦人かな |
深谷美智子
|
万のバラ戦(そよ)ぐ港の見える丘 |
野村親信
|
エレベーター出れば天上薔薇の園 |
野村親信
|
雨しづく紅に染む薔薇の花 |
大田武
|
梅雨晴や隣の家の犬騒ぐ |
大田武
|
2020年3月(兼題:「麗か(うらら)」、「桜・花」、「鞦韆(ぶらんこ)」)
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<特選> 3句 |
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一木の歓喜のさまに花吹雪く |
本多悠天
|
疫憂ふ今年も燕来たりけり |
大田武
|
花見茣蓙テデイーベアも傍らに |
小森葆子
|
<その他の入選> 26句 |
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花筏ちぎれぬ亀の首触れて |
本多悠天
|
島うらら鳶の笛のあちこちに |
本多悠天
|
烏帽子岩遥かに春の富士模糊と |
太田真澄
|
うららかや双子の眠るベビーカー |
太田真澄
|
篝火に花の舞ひ散る能舞台 |
宮崎勉
|
一燭のおぼろにませる観世音 |
宮崎勉
|
ショーウインドはパステルカラー春の風 |
宮崎勉
|
子ら去りてなほもブランコ揺れてゐる |
小森葆子
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ケーブルの窓に傾く花の山 |
小森葆子 |
疫病禍ふらここ今日も動かざる |
市川毅 |
疫病禍関りもなく桜咲く |
宮田望月
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花色のぼんぼり花を待ちにける |
北川和子
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天の高みへとふらここ漕ぎに漕ぐ |
鈴木康允
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添はんとし又も離るる花筏 |
山崎圭子
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花の雲次々出づる観覧車 |
山崎圭子
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庭に茣蓙隣人招き夜の花見 |
野村親信
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戦火免れし母校の桜かな |
野村親信
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天平の乙女もかくや若菜つむ |
杉原洋馬
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梵鐘の遠く響ける夕桜 |
深谷美智子
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ふらここを高く高くと漕ぎ合へり |
深谷美智子
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人の世の憂ひ知らぬげ花ざかり |
中島彩
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灯を浴びていよよ白梅白きかな |
中島彩
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垣根越え溢れんばかり雪柳 |
新井康夫
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ふらここを漕ぐ子ら声を弾ませて |
鈴木六花
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少しだけ遠回りせん花の道 |
鈴木六花
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ぶらんこに坐る鉄棒諦めて |
鈴木寛
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2020年1月(兼題:「書初」、「冴ゆ」、「鷹」)
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<特選> 3句 |
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落款もぴたりと決まり筆始 |
山崎圭子
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鷹匠の弓手の鷹の鎮まらず |
本多悠天
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身を浄め一気呵成の吉書かな |
野村親信
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<その他の入選> 25句 |
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アンデスの嶺嶺を眼下に鷹舞へる |
小森葆子
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初孫の名を大書せる筆始 |
小森葆子
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街い行く吾が靴音や月冴ゆる |
太田真澄
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空海も良寛も好きお書初 |
鈴木六花
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月冴ゆる夜目にも白き砂浜に |
本多悠天
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電波塔立つ漆黒の闇冴ゆる |
鈴木康允
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明星の冴え冴え光る家路かな |
宮田望月
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初漁やエンジン響く港町 |
宮崎勉
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分校は閉ざされしまま山眠る |
宮崎勉
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発声の基本に戻り初稽古 |
市川毅 |
のびのびと「ゆめ」と書かれし吉書かな |
北川和子
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放鷹(ホウヨウ)に殿様気分三の丸 |
北川和子
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星冴ゆる生家の戸口出てみれば |
深谷美智子
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山越しに冴え冴え見ゆる雪の富士 |
深谷美智子
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金的を射止む一瞬矢音冴ゆ |
山崎圭子
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手鑑は千字文なり筆始 |
山崎圭子
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青空に泰然自若鷹の舞ふ |
中島彩
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書初や必勝の文字太太と |
鈴木寛
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平家池らしく山茶花赤ばかり |
新井康夫
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書初や令和縁の万葉歌 |
野村親信
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湯たんぽの母の温もり抱いて寝る |
杉原洋馬
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天守なき城址三日月冴えにけり |
大田武
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黄昏の鴨皆影となりて浮く |
大田武
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書初の紙をはみ出す勢(きほひ)かな |
鈴の木正紘
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鳴き声の嬰かと紛ふ猫の恋 |
鈴の木正紘
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2019年11月(兼題:「小春」、「年用意」、「蜜柑」)
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<特選> 3句 |
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言ふべきか言はざるべきか蜜柑剥く |
本多悠天
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洋梨の異形ムンクの叫びかな |
新井康夫
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磯宮の錨錆びをり神の留守 |
宮崎勉
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<その他の入選> 19句 |
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新しき箸買ひ足すも年用意 |
太田真澄
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災害の跡そのままに山眠る |
本多悠天
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利根川に釣り師の並ぶ小春かな |
宮崎勉
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部屋ぢゅうに樟脳匂ふ冬支度 |
小森葆子
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庫裡の軒薪高く積み冬用意 |
小森葆子
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愛飲の銘酒取り寄せ年用意 |
鈴木康允
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メモ要らず老いの二人の年用意 |
市川毅
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蜜柑もぐ親子三代総出して |
宮田望月
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飲屋街にも花壇あり年用意 |
北川和子
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畑の幸筵に干して里小春 |
山崎圭子 |
年用意独り居なれど怠らず |
中島彩
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龍の玉箒持つ手のふと止まり |
中島彩
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天使像片翼もがる野分かな |
杉原洋馬
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断捨離を肝に銘じて冬用意 |
鈴の木正紘
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薬袋溢れむばかリ年用意 |
鈴木寛
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年用意一つ一つに母の声 |
鈴木六花
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柔らかき皮固き皮蜜柑むく |
深谷美智子
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海賊の裔の生業蜜柑摘む |
野村親信
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小春日や人影にすぐ鯉寄り来 |
大田武
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2019年9月(兼題:「秋惜しむ」、「花野」、「地芝居」)
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<特選> 3句 |
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隈取の忠治見え切る村芝居 |
鈴木康允
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鵜供養の済みし長良川(ながら)に秋惜しむ |
山崎圭子
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パラグライダー飛び行く那須の大花野 |
宮崎勉
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<その他の入選> 22句 |
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三国志展を見終へて秋惜しむ |
本多悠天
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地芝居の玄人はだしとやいはん |
市川毅
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その先に瀬音聞こゆる花野かな |
深谷美智子
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草分けて道なき道を花野行く |
深谷美智子
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子供歌舞伎祖父のおひねり飛びにけり |
宮田望月
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地芝居のまたも台詞に詰まりけり |
小森葆子
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入口も出口もあらぬ花野かな |
小森葆子
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大粒の葡萄値を見て戻しけり |
新井康夫
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大花野雲を友とす一人旅 |
北川和子
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見得を切る子供歌舞伎の役者かな |
北川和子 |
地芝居の子役見守る母の顔 |
鈴木六花
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秋惜しむ音楽堂にチェロを聴き |
鈴木六花
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前垂れの褪せゐる地蔵花野道 |
鈴木康允
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山囲む底の花野を漕ぎ行けり |
大田武
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科白出ず客の掛け声村芝居 |
鈴木寛
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新涼や背すじ伸ばして朝散歩 |
中島彩
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夢うつつ声明めける虫時雨 |
中島彩
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夕顔の底光りする白さかな |
杉原洋馬
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単線の一両電車大花野 |
山崎圭子
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朝靄の中を鋭き鵙の声 |
宮崎勉
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村芝居馬の後脚助役とか |
野村親信
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地芝居の海女のお岩の逞しき |
野村親信
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2019年7月(兼題:「日焼」、「滝」、「冷奴」)
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<特選> 3句 |
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冷奴くづし本音をふと洩らす |
宮崎勉
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近づいてまた遠ざかる滝の音 |
鈴木六花
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日焼けの子海のにほひをさせ帰る |
小森葆子
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<その他の入選> 23句 |
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海の子の日焼の肌の黒光り |
本多悠天
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遠望の滝の一筋音も無く |
本多悠天
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睫毛まで日焼けしてゐる浜の子ら |
野村親信
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一丁を分けて二人の冷奴 |
野村親信
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大瀑布ただただ仰ぐばかりかな |
市川毅
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農夫我首筋までも日焼けして |
鈴木康允
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結局は絹ごしを買ひ冷奴 |
鈴木康允
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日矢届く滝の一条奥の院 |
鈴木康允
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白鉢巻ボールを追へる日焼かな |
宮田望月
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合歓の花陰にやや児の眠りをり |
宮崎勉 |
山風に乗り行く読経滝開き |
北川和子
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冷奴好む歳となりにけりし |
小森葆子
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日焼けの子すでに背丈は母を越え |
深谷美智子
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ガラス器に薬味あれこれ冷奴 |
深谷美智子
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献立に迷ひし時は冷奴 |
山崎圭子
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滝頭見んと急梯登りけり |
山崎圭子
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浜走る足裏真つ白日焼けの子 |
鈴木寛
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盆棚に知らぬ祖先の位牌見ゆ |
杉原洋馬
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球児らの皓歯際立つ日焼け顔 |
中島彩
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剣持つ滝を背(そびら)の不動尊 |
新井康夫
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家中に月下美人の香り立つ |
新井康夫
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冷奴マジック書きのお品書き |
大田武
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ひと山を越えて眼下の滝細し |
大田武
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2019年5月(兼題:「短夜」、「青田」、「夏木立・新樹」)
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<特選> 3句 |
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記念館へと夏木立縫ひ行けり |
深谷美智子
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短夜や枕辺に置く旅鞄 |
宮崎勉
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こんな夢見るんだという夢明け易し |
鈴木六花
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<その他の入選> 22句 |
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下総と常磐つなぐ青田原し |
小森葆子
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青田波うねりうねりて山裾へ |
小森葆子
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神饌の悠紀斎田青田風 |
宮田望月
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短夜や旅に練り上ぐ行程表 |
宮田望月
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青空を映す余地なき青田かな |
本多悠天
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冥土かも夢か現か明け易し |
本多悠天
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短夜や旅の支度のあれやこれ |
鈴木康允
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短夜の旅寝に遠く波の音 |
深谷美智子
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トンネルの出口眩しき新樹光 |
北川和子
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筑波嶺の稜線けぶり梅雨兆す |
宮崎勉 |
明早し来世は鳥もよきかなと |
鈴木寛
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峡の宿水潺々と明易し |
山崎圭子
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丘の上青田を渡る風の見ゆ |
市川毅
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歩み止め新樹の中の深呼吸 |
市川毅
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競ひ合ふかに緑増す新樹かな |
中島彩
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緑風や五臓六腑の軽きこと |
中島彩
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水撒けばそこに降り立つ夏の蝶 |
杉原洋馬
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相模野の富士山望む青田かな |
新井康夫
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踏切にしばし手かざす薄暑かな |
鈴木六花
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何度でも見る目覚ましや明け易し |
鈴木六花
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翼下いま輝く青田鏡かな |
大田武
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田の神を祀れる宮へ青田道 |
野村親信
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2019年3月(兼題:「早春・春浅し」、「春愁」、「鳥帰る」)
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<特選> 3句 |
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鳥帰る日毎急かるる畝づくり |
鈴木康允
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天空の道を違はず鳥帰る |
野村親信
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春愁やいびつに減りぬ靴の底 |
深谷美智子
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<その他の入選> 18句 |
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鳥帰るレーダー持つかに北目指し |
小森葆子
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追つかける菜の花前線養蜂家 |
宮田望月
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靖国や散華の如く桜散る |
本多悠天
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春浅し土塊砕く鍬の音 |
鈴木康允
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日を返しきらめく川面春近し |
鈴木六花
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春浅し浅間小浅間白きまま |
鈴木六花
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武蔵野の空をはるかに鳥帰る |
深谷美智子
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春愁や納豆のごと脳粘る |
鈴木寛
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予報なく前触れもなき余寒かな |
新井康夫
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煩悩のあるままで良し朧月 |
中島彩
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恋の蟇(ヒキ)啓蟄待たず穴出づる |
杉原洋馬
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春愁を払はん墨を磨りにけり |
市川毅
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ワイン買ふ夕暮の街春愁 |
北川和子
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鳥帰る飛行機雲も北をさす |
山崎圭子
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観音に秘めし十字や春愁 |
山崎圭子
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早春の足裏(あうら)に弾む土手を行く |
鈴の木正紘
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早春や富士山麓の地図広げ |
宮崎勉
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春愁独り珈琲豆挽きぬ |
大田武
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2019年1月(兼題:「氷柱」、「日向ぼこ」、「歌留多」)
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<特選> 3句 |
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日向ぼこ話し上手に聞き上手 |
野村親信
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夫の背の丸さ愛ほし日向ぼこ |
鈴木六花
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いにしへのあまたの恋や歌かるた |
深谷美智子
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<その他の入選> 20句 |
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腰浮かしいざと構ふる歌留多取り |
本多悠天
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日なたぼこ良寛逝きし歳となる |
宮田望月
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兄が踏み弟も踏む霜柱 |
小森葆子
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釣果などなくてもよろし日向ぼこ |
小森葆子
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深川は橋多き町福詣 |
宮崎勉
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日の差すや輝く千の滝氷柱 |
鈴木康允
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店番をしつつ老婆の日向ぼこ |
鈴木康允
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芯に日を閉ぢ込め氷柱解け初むる |
大田武
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どら猫に一瞥されて日向ぼこ |
大田武
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得意札掠めとらるる歌留多かな |
深谷美智子
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広縁に棋譜並べつつ日向ぼこ |
市川毅
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得意札ひたすら見据ゑ歌留多取 |
山崎圭子
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大甍櫛比をなせる軒氷柱 |
山崎圭子
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ラジオから与太郎噺日向ぼこ |
鈴木寛
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彼岸へと続きさうなる日向ぼこ |
北川和子
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取り札を孫と競へる歌留多かな |
北川和子
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日向ぼこ午睡往生かくのごと |
杉原洋馬
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朝刊を広げゆつくり日向ぼこ |
鈴の木正紘
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日向ぼこ位牌磨きつ縁側に |
中島彩 |
日向ぼこいつの間に本取り落とし |
新井康夫
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2018年11月(兼題:「寒し」、「山眠る」、「湯豆腐」)
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<特選> 3句 |
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息白く渚を駆くる当歳馬 |
宮崎勉
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生家いま空家のままに山眠る |
深谷美智子
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湯豆腐は木綿が好みコップ酒 |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 20句 |
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小雨降る飯盛山の墓寒し |
鈴木康允
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湯豆腐を好める齢となりにけり |
小森葆子
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山眠る採石の音谺して |
小森葆子
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古民家の土間に漂ふ寒さかな |
市川毅
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山眠る色無きなかに見ゆる色 |
宮田望月
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満天の星の煌めき山眠る |
本多悠天
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崩落の跡をあらはに山眠る |
宮崎勉
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孫来る日近しいそいそ布団干す |
新井康夫
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採石の跡をあらはに山眠る |
山崎圭子
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鉄塔は仁王立ちなり山眠る |
山崎圭子
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湯豆腐やことりと揺らぐ頃合を |
山崎圭子
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湯豆腐の静かに揺らぐ二人酒 |
北川和子
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山眠る郷里車窓に過ぎ行けり |
大田武 |
冬の波ひじり配流の磯洗ふ |
大田武
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湯豆腐の食べごろ小さき音たちぬ |
中島彩
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ゴンドラの空中散歩渓紅葉 |
鈴の木正紘
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道端にペットボトルの供華寒し |
鈴木寛
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極小の熊手今年も酉の市 |
杉原洋馬
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湯豆腐の踊りはじめを掬ふべし |
鈴木六花 |
けもの道ひとつにあらず山眠る |
野村親信
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2018年9月(兼題:「行く秋」、「天の川」、「茸:松茸」)
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<特選> 3句 |
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空の果て地の果てまでも鱗雲 |
中島彩
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茶屋主きのこ博士と呼ばれをり |
小森葆子
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行く秋や灯(ひとも)し頃のビルの街 |
深谷美智子
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<その他の入選> 14句 |
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銀漢や停電の街ほの照らす |
宮田望月
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まづは嗅ぐさすが松茸ご飯かな |
本多悠天
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墨東に篠笛ひびき観月会 |
宮崎勉
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李白の詩吟じ古城の秋惜しむ |
宮崎勉
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腰掛けよとばかり盤をなす茸 |
山崎圭子
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耳元に不意に蚊の音寝入りばな |
市川毅
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逝く秋やこれからのこと今日のこと |
鈴木康允
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ゴルフボール探せどもまた白茸 |
鈴木寛
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かりそめがやがて定着秋気配 |
杉原洋馬
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ただならぬ赤さの茸名を知らず |
深谷美智子
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切株に見慣れぬ茸出てをりぬ |
鈴の木正紘
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行く秋や独り居の友訪ねたり |
鈴木六花
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熊除けの鈴犬につけ茸狩 |
野村親信 |
テント出て親子で仰ぐ天の川 |
大田武
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2018年7月(兼題:「晩夏・夏の果て」、「団扇」、「苺」)
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<特選> 3句 |
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海士の四肢黒光りせる晩夏かな |
宮崎勉
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夏の果傷はやうやくかさぶたに |
野村親信 |
少年の声変りして夏終る |
山崎圭子
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<その他の入選> 19句 |
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寝付くまで母は団扇であふぎくれ |
宮田望月
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夏果てて無人駅舎に戻りけり |
本多悠天
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胸元をつまみ上げもし団扇風 |
山崎圭子
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龍神を祀る磯山花海桐 |
宮崎勉
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白檀の香りかすかに古扇 |
小森葆子
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夏草や休めしままの登窯 |
鈴の木正紘
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炎天下己が影踏み独りゆく |
市川毅
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白磁には蔕のみ残る苺かな |
大田武
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虹仰ぐこの吉兆を分かちたし |
中島彩
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急かすかに団扇縁台将棋かな |
鈴木寛
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朝夕の水遣り空し大旱(ひでり) |
杉原洋馬
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寝つきたる手より落ちたる団扇かな |
新井康夫
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単線の鉄路揺らぐや晩夏光 |
鈴木康允
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七輪の煙追ひやる渋団扇 |
鈴木康允 |
団扇風読経を上ぐる僧の背へ |
鈴木康允
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往診の医師に送れる団扇風 |
深谷美智子
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忙しなく扇子つかひて商談す |
深谷美智子 |
人気なき午後の校庭夏深し |
深谷美智子
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役者絵の団扇長き柄しならせて |
野村親信
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2018年5月(兼題:「薄暑」「夏料理」「蝉・空蝉」)
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<特選> 3句 |
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五月晴クレーンすつくとビルの上 |
大田武
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空蝉の足しつかりと岩捉へ |
本多悠天 |
せせらぎの音も肴や夏料理 |
深谷美智子
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<その他の入選> 22句 |
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独り居の昼餉はいつも冷奴 |
山田敏
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魂ともに抜けしうつせみ清々し |
宮田望月
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仕上げにとハーブを添ふる夏料理 |
小森葆子
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背を割って今し生まるる蝉白し |
小森葆子
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空蝉の生身の跡を残さざる |
市川毅
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畑仕事朝日のすでに薄暑光 |
鈴木康允
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軽暖や上着を肩に京の路地 |
鈴木康允
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浅間嶺に雲湧き出づる薄暑かな |
宮崎勉
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袖口をたくし上げもす薄暑かな |
鈴の木正紘
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歯応への採り立て野菜夏料理 |
鈴の木正紘
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格子窓連なる小路古都薄暑 |
深谷美智子
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木漏れ日に空蝉の身の透き通る |
深谷美智子
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スマホ手にランチ待つ列街薄暑 |
鈴木寛
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吾庭の胡瓜も添ふる朝げかな |
新井康夫 |
笹の葉をあしらふ切子夏料理 |
山崎圭子
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菩提樹に縋りてをりぬ蝉の殻 |
山崎圭子
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碁盤割ありし斎野燕飛ぶ |
山崎圭子 |
箸置きも硝子に変へぬ夏料理 |
鈴木六花
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一輪挿しドクダミの花楚々とあり |
杉原洋馬
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山並に窓開け放つ夏料理 |
野村親信
|
一山のみんみん和讃さながらに |
野村親信
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脱け殻に縋りて蝉の朝を待つ |
大田武
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2018年3月(兼題:「長閑」「春の星」「新社員」)
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<特選> 3句 |
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磯宮の笛吹く鳶や雛送り |
宮崎勉
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独り身や語りかけたき春の星 |
市川毅 |
ぎごちなく名刺交換新社員 |
深谷美智子
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<その他の入選> 25句 |
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恋猫の喧嘩のはげし夜もすがら |
山田敏
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のどかさや我のあくびの猫にまで |
山田敏
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日当れるなぞへ堅香子一面に |
宮田望月 |
ここ尾州雪の御嶽遠拝み |
宮田望月
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猿山ののどかボス以下みな眠げ |
小森葆子
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普段着で出社IT新社員 |
野村親信
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ぴんと立つズボンの折り目新社員 |
鈴木康允
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金ぴかの社章を胸に新社員 |
鈴木康允
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教会のお昼を告げる鐘のどか |
鈴の木正紘
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居酒屋を出でて仰げる星朧 |
宮崎勉
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春星や静かにジャズの聞こえ来る |
大田武
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のどけしや親亀の背に子亀乗せ |
本多悠天
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長閑なる散歩日和や万歩計 |
市川毅
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のどけしや釣り糸垂るる爺と孫 |
山崎圭子 |
寝そべれる犀は岩とも園長閑 |
山崎圭子
|
ぴかぴかの吊り下げ名札新社員 |
山崎圭子
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チェーンソー音長閑なり谷戸の奥 |
鈴木六花 |
挨拶のひときわ高き新社員 |
鈴木六花
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終バスを見送り仰ぐ春の星 |
鈴木寛
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義士の墓目指せるごとく花吹雪く |
中島彩
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吾が窓に春星一つ名を知らず |
新井康夫
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集まりて帯となりゆく花筏 |
新井康夫
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乙女座のスピカも滲む春の宵 |
杉原洋馬 |
福寿草辺りの光独り占め |
杉原洋馬
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今しばしそぞろ歩かむ春の星 |
深谷美智子
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2018年1月(兼題:「春待つ・春近し」「北風・木枯」「七種」)
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<特選> 3句 |
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春近し天地返しの土香る |
鈴木康允
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海境(うなさか)に光芒一閃初日出づ |
宮崎勉 |
婦人服売り場明るく春近し |
本多悠天
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<その他の入選> 19句 |
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朝湯浴び四体を清め年新た |
山田敏
|
わが庭の一草足しぬ七日粥 |
小森葆子
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春を待つ心は同じ野も山も |
小森葆子 |
北風は高空を突き進むべし |
宮田望月
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背の日差し何とはなしに春隣 |
鈴木六花
|
北風にペダル漕ぐ足縺れけり |
市川毅
|
朱の膳に七草粥の香り立つ |
宮崎勉
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北風吹くや電柱太き北の町 |
野村親信
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朝採りの菘(すずな)蘿蔔(すずしろ)粥仕立て |
鈴木康允
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北風を背なにひたすら鍬を打つ |
鈴木康允
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伊豆の海(み)に雲の沸き立ち春近し |
新井康夫
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北風に背筋伸ばして歩みけり |
鈴の木正紘
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春を待つ天地返しの山畑 |
鈴の木正紘
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和菓子屋の品書新た春近し |
深谷美智子 |
ショウウインドのパステルカラー春隣 |
山崎圭子
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遠富士のひときは白く寒募る |
中島彩
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寒風に力士幟の暴れをり |
鈴木寛 |
病臥してひときは眩し雪の庭 |
杉原洋馬
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頂きを先づは見据ゑてスキー履く |
大田武
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2017年11月(兼題「冬の海」「毛糸編む」「水鳥」)
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<特選> 3句 |
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毛糸編む心遥かに遊ばせて |
深谷美智子
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老妻はながら族なり毛糸編む |
市川毅 |
包丁を研ぎに出したり暮れ初め |
杉原洋馬
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<その他の入選> 18句 |
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池向う真赤に燃ゆる紅葉かな |
山田敏
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懐かしや落葉を焚けるこの匂ひ |
深谷美智子
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風紋を崩して歩く冬の浜 |
深谷美智子 |
水脈引いて群れ離れ行く鴨一羽 |
深谷美智子
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座礁船いまだそのまま冬の海 |
野村親信
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流行り糸随所にマフラー編みにけり |
宮田望月
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ウイルスの騒がれてゐて水鳥来 |
宮田望月
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忙中閑あればひたすら毛糸編む |
小森葆子
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能登の冬礁に散れる波の花 |
宮崎勉
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波追うて走る千鳥の忍者めく |
本多悠天
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親不知越すや荒磯の浪の華 |
鈴木康允
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水鳥のぐんぐんと水脈曳きゆける |
鈴木寛
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見放くるは遠流の島や冬の海 |
山崎圭子
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百選の潟とて万の浮寝鳥 |
山崎圭子 |
漁火のポツンポツンと冬の海 |
鈴木六花
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毛糸編む母を偲びつ毛糸編む |
中島彩
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落葉踏みつつ読み返す御籤かな |
新井康夫 |
毛糸編む母陽だまりの中に居り |
大田武
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2017年9月(兼題:「月」「夜なべ」「小鳥」)
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<特選> 3句 |
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名月や吾も影引くもののうち |
大田武
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終電で帰る子待てる夜なべかな |
深谷美智子 |
投函を遠回りして月の道 |
山崎圭子
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<その他の入選> 24句 |
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鳴き尽くし天を仰ぎて蝉逝けり |
山田敏
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川の底までも映せる月明り |
野村親信
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オアシスの新宿御苑小鳥来る |
野村親信 |
露座仏の螺髪を照らす今日の月 |
本多悠天
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わが庭に今日も番の小鳥来る |
本多悠天
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子の作る月見団子の丸からず |
小森葆子
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早世の詩人の館小鳥来る |
深谷美智子
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夕空の黒き一団椋鳥渡る |
深谷美智子
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水の秋運河に映る蔵の町 |
宮崎勉
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小鳥来る古木の多き孔子廟 |
宮崎勉
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鳥渡る旅も果てなる街の上 |
鈴木康允
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鍬打つてをれば小鳥の群れ来たり |
鈴木康允
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ラヂオより浪曲ながる夜なべかな |
鈴木寛
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庭に来て呉るる小鳥の名を知らず |
新井康夫 |
絵筆擱き初めて気づく虫の声 |
新井康夫
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仲間来て何処ともなく小鳥去る |
市川毅
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奈良ホテル鹿の声聞く月明り |
鈴木六花 |
月見豆添へて一献かたむけぬ |
鈴木六花
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朝戸繰るまだしきりなる虫の声 |
杉原洋馬
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案山子かと目凝らしおれば動きけり |
中島彩
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蕎麦の花微笑みませる道祖神 |
中島彩
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体操着子の名を縫へる夜なべかな |
大田武
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孤高なる記念碑小鳥来てをりぬ |
鈴の木正紘
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組紐を打つ音響く夜なべかな |
宮田望月
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2017年7月(兼題:「短夜」「花火」「蛍」)
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<特選> 3句 |
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押しのけて押しのけ花火次々と |
鈴木寛
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蛍火や流人の墓は石ひとつ |
宮崎勉 |
遠花火音の駆け来る田舎道 |
市川毅
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<その他の入選> 25句 |
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尺玉の花火に揺るる屋形船 |
山田敏
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漆黒の闇にほつほつ蛍かな |
山田敏
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明易やカーテン薄き寝台車 |
小森葆子 |
明易や遠くニハトリ刻を告ぐ |
小森葆子
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囲ふ手の指間を漏るる蛍の火 |
本多悠天
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短夜や夢の続きをなほ見たく |
本多悠天
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城跡の蛍に哀史思ひけり |
宮田望月
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短夜の夢の続きの有りや無し |
市川毅
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火柱の手筒花火を抱く二十歳 |
鈴木康允
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旅先の枕なじめず明け易し |
宮崎勉
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明易の船出せはしき漁港かな |
宮崎勉
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轟音のあとのしじまや大花火 |
深谷美智子
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鉢提げて朝顔市をなほ去らず |
深谷美智子
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人偲ぶ蛍の宵となりにけり |
鈴木六花 |
心太微かに海の香りかな |
杉原洋馬
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渇水のニュース水まき遠慮がち |
杉原洋馬
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山間の花火遅れて谺する |
野村親信
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何もせぬこと許さるる酷暑かな |
鈴の木正紘
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平家よし源氏なほよし蛍狩り |
山崎圭子
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水の上蛍火虚実紛らはし |
山崎圭子
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掌の蛍生命線を照らしもす |
山崎圭子
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出ると聞く蛍を見たく宵散歩 |
新井康夫
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水面にも百花繚乱大花火 |
中島彩
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蛍火や魔術師のごとここかしこ |
中島彩
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濡れ猫と軒に夕立去るを待つ |
大田武
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2017年5月(兼題:「梅雨・入梅」「山開・海開」「目高」)
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<特選> 3句 |
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炬火の帯うねりなだるる山開 |
野村親信
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梓川とて梅雨濁り免れず |
山崎圭子 |
麦秋の丘のチャペルへ径つづく |
宮崎勉
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<その他の入選> 26句 |
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銀座並み混み合ふ富士の山開 |
山田敏
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雨の日はいよよ鮮やか濃紫陽花 |
山田敏
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駒を打つ音に湿りや梅雨に入る |
野村親信 |
少年は逃ぐる目高の先掬ふ |
野村親信
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祝砲の汽笛響ける海開き |
小森葆子
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山開き天狗と握手したりけり |
小森葆子
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見慣れゐし中州消えをり梅雨の川 |
本多悠天
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かざす手に目高のさつと散りにけり |
本多悠天
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我が影にパッと散りたる目高かな |
市川毅
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行く手なる木の間木の間の風光る |
市川毅
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棚の藤揺れ止み丈のほぼ揃ふ |
宮崎勉
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剪るも惜し散らすも惜しき牡丹かな |
宮崎勉
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山門を額縁として青楓 |
宮田望月
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褌の子らも参列海開き |
鈴木康允 |
ぐい呑みに酌めるは地酒初鰹 |
鈴木康允
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夜明け待つ人々あまた富士開く |
新井康夫
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ペットショップ色様々の目高かな |
新井康夫
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新聞を繰る手ごたへや梅雨に入る |
鈴木寛
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気温差に迷ふ旅の荷梅雨入前 |
鈴の木正紘
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救命士たちも祓はれ海開き |
大田武
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黒々とデゴイチ濡るる男梅雨 |
大田武
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海開き祝ひ帆船沖に早や |
中島彩
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水底の影に目高を捉へけり |
山崎圭子
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梅雨深し庭木の青の極まれり |
鈴木六花
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濯ぎもの竿にはためく梅雨晴間 |
深谷美智子
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モビールの船ゆらゆらと夏館 |
杉原洋馬 |
2017年3月(兼題:「春風」「遠足」「木の芽・草の芽」)
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<特選> 3句 |
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遠足の今日何度目の点呼かな |
野村親信
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散髪を終へし襟足春の風 |
鈴木康允 |
大空を占領したる辛夷かな |
中島彩
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<その他の入選> 24句 |
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遠足の弾ける声やお昼時 |
i市川毅
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名は知らぬ草の芽なれど健気かな |
市川毅
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ゆつたりと春風に乗る飛行船 |
山田敏
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みどり子の公園デビュー春の風 |
宮田望月
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遠足の一団ホームにあふれさう |
深谷美智子
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遠足子降りし車両の静けさよ |
小森葆子
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雑木林色それぞれに芽吹きけり |
小森葆子
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木の芽風鍬幾たびも振りかぶる |
鈴木康允
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春風や頬のゆたかな飛鳥仏 |
宮崎勉
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雪洞にいよいよ白き雛の顔 |
宮崎勉
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遠足の赤白黄の帽子行く |
本多悠天
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競ふかにものみな芽吹く自然園 |
本多悠天
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花の絵を名札としたる芽芍薬 |
山崎圭子
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春風の少女のうなゐ髪を梳く |
山崎圭子 |
春一番二番の後は戻り寒 |
杉原洋馬
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それぞれの色それぞれの木の芽吹く |
鈴木六花
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春光に微笑みおはす磨崖仏 |
中島彩
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オカリナの調べきこゆる春の風 |
鈴木寛
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朽ちかけの一本桜も花盛り |
新井康夫
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主なき家にも桜咲きにけり |
新井康夫
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春風に自づと歩幅広ごれり |
鈴の木正紘
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遠足の声の膨らむ無人駅 |
鈴の木正紘
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春風や大願成就絵馬鳴らす |
大田武
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遠足子青信号に手を挙げて |
野村親信 |
2017年1月(兼題:「氷」「着ぶくれ」「冬眠」)
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<特選> 3句 |
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鶏旦や一村いまだ靄の中 |
宮崎勉
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今朝もまだ蕾のままの冬薔薇 |
鈴木六花 |
ぴしぴしと湖氷る夜となりぬ |
野村親信
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<その他の入選> 21句 |
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凍りつく華厳の滝のなほしぶく
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山田敏
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冬眠のごとく臥せゐる日数かな |
鈴木康允
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着ぶくれの背中に見ゆる老いの翳 |
鈴木康允
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今日ひと日家居と決めてちやんちやんこ |
小森葆子
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四囲の音まつたく途絶え滝氷る |
小森葆子
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池の水抜かれ水鳥隔離さる |
宮田望月
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譲られし席憚りぬ着脹れて |
山崎圭子
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さなくとも背中の丸く着脹るる |
山崎圭子
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浮きゐたる葉を閉ぢ込めて氷りけり |
深谷美智子
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着膨れの子を抱く母も着膨れて |
深谷美智子
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芽キャベツの芽の犇めける収穫時 |
杉原洋馬
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鑿一つ氷に命与へけり |
市川毅
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冬眠であれ今生の別れかな |
市川毅
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着膨れのポケット探る券売所 |
大田武 |
日に溶けていよよ鋭き氷柱かな |
大田武
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着膨れて二人座席を一人占め |
鈴の木正紘
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小石まだ氷の上に今朝のまま |
鈴木寛
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マトリョーシカめくよ母子の着ぶくれて |
鈴木寛
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手水鉢柄杓と共に氷りけり |
新井康夫
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着ぶくれの吾を睨める不動かな |
本多悠天
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着ぶくれて垣間見もする水行場 |
本多悠天
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2016年11月(兼題:「小春」「年の市」「落葉」)
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<特選> 3句 |
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黄落の道を真つ直ぐ美術館 |
宮崎勉
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木を切れば匂ひ立つなり冬はじめ |
深谷美智子 |
自動ドア開くや落葉を招き入れ |
大田武
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<その他の入選> 18句 |
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くるぶしを隠せるほどの落葉踏む |
宮田望月
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群れ遊ぶ小春日和の雀かな |
鈴木康允
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メモを手に右往左往や年の市 |
市川毅
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踏み行けば足裏にやさし落葉道 |
小森葆子
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メモ片手行きつ戻りつ年の市 |
小森葆子
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一人客問はず語りのおでん酒 |
本多悠天
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ボール追ふ犬を子の追ふ園小春 |
深谷美智子
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宮参り晴着の孫に紅葉舞ふ |
新井康夫
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せかせかと皆せはしげや年の市 |
新井康夫
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呼込みの一際高し年の市 |
鈴木六花
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口上に魚売り切る年の市 |
鈴の木正紘
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ロダン像動き出しさう小春かな |
野村親信
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メモのもの買ひ忘れもす年の市 |
野村親信
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小春日のお手玉遊び縁先に |
山崎圭子 |
西陣の機音洩るる路地小春 |
山崎圭子
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烏瓜荒野にひとつ火を灯す |
中島彩
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味見するだけも多々有り年の市 |
鈴木寛
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風強し掃いても掃いても落葉かな |
山田敏
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2016年9月(兼題:「秋深し」「稲架」「柿」)
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<特選> 3句 |
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踏ん張らす角度のありて稲架を組む |
山崎圭子
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妻放り夫が掛けゆく稲架(いなか)かな |
小森葆子 |
二人してなに言ふでなく月見かな |
鈴木六花
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<その他の入選> 21句 |
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鳥のため梢に残す柿二つ |
山田敏
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枝の柿そのまま子規に供へけり |
本多悠天
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凭れ合ふままに枯れゐる思ひ草 |
本多悠天
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ふるさとの景にさも似て稲架並ぶ |
本多悠天
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故郷はどこの家にも柿実る |
小森葆子
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音符めく丈の揃はぬ吊るし柿 |
小森葆子
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太き木を武骨に組みて木曽の稲架 |
野村親信
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一幅の名筆を前秋深し |
市川毅
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ふるさとの話の尽きず柿をむく |
鈴木六花
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降り立ちぬ花野の中の無人駅 |
宮崎勉
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信濃路の処々に明るき秋桜 |
宮崎勉
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出水引く芥まみれの簗簀かな |
山崎圭子
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山間や田毎に小さき稲架組まれ |
鈴木康允
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廃屋の井戸端熟柿潰れ落ち |
深谷美智子 |
竿先に柿挟まんとのけぞれる |
深谷美智子
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一語のみ交はせる別れ秋深む |
鈴の木正紘
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蝉の如あつけらかんと逝きたかり |
杉原洋馬
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ゲレンデのリフトにまでも稲を干す |
鈴木寛
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いじめつ子やり過ごしもす稲架のかげ |
宮田望月
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森閑と谷戸の煙や秋深し |
新井康夫
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合掌家屋根にそよげるススキの穂 |
中島彩
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2016年7月(兼題:「灼く」「滝」「サイダー・ラムネ」)
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<特選> 3句 |
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供華のなきまま義勇士の墓灼くる |
小森葆子
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炎天に踏み出す一歩深呼吸 |
宮崎勉 |
奔放にして整然と滝落ちる |
鈴木寛
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<その他の入選> 19句 |
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滝に来て上衣一枚羽織りけり |
山田敏
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灼け浜を爪先立ちに水辺へと |
小森葆子
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平らかな更地灼けゐてただ白し |
宮田望月
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切れ切れの片蔭拾ひ拾ひ行く |
宮崎勉
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耳鳴りの消え失せてをり蝉時雨 |
本多悠天
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まづ触れて見る鉄棒の灼け具合 |
本多悠天
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灼け砂の浜を韋駄天走りかな |
市川毅
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角度決め一気飲み干すラムネかな |
野村親信
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一歩づつ手摺頼りの滝見かな |
鈴の木正紘
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全容の見ゆる富士山梅雨明くる |
中島彩
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ゴルフかと問はれもすなる日焼け顔 |
大田武
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向日葵の人立つごとく町工場 |
大田武
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水澄し交尾のままに潜りけり |
杉原洋馬
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滑り台灼けゐて子供見当たらず |
深谷美智子 |
ラムネ玉昭和は遠くなりにけり |
深谷美智子
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滝しぶきマイナスイオン存分に |
山崎圭子
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バリアフリー手摺灼けゐて掴まれず |
山崎圭子
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雨上りまた一斉に蝉の声 |
新井康夫
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ラムネ飲む二度も三度も玉詰まる |
鈴木康允
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2016年5月(兼題:「母の日・父の日」「祭」「新緑・緑」)
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<特選> 3句 |
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母の日や祖母母娘皆強し |
杉原洋馬
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父の日を以て酒量を控へけり |
鈴の木正紘 |
荒神輿みんな写楽の顔となる |
野村親信
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<その他の入選> 28句 |
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通学の元気な子らや柿若葉 |
山田敏
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母の日やコック張り切る十才児 |
宮田望月
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古民家の竈(かまど)のけぶる青葉雨 |
宮崎勉
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小糠雨却ってよろし神輿舁(か)く |
小森葆子
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押し押され三社祭の人混みに |
小森葆子
|
笛吹ける娘いなせな祭髪 |
小森葆子
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母の日や母とし悔いのなくもなし |
小森葆子
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鳳凰の飛び立ちさうや荒神輿 |
本多悠天
|
神輿舁くもろ肌脱げる碧眼も |
本多悠天
|
鳰の子に親また潜り見せもする |
本多悠天
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祭笛半纏の字も踊りけり |
市川毅
|
初陣の乗馬手間取る賀茂祭 |
鈴の木正紘
|
祭足袋腓に力漲れり |
野村親信
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江戸つ子の血騒ぐ三社祭かな |
野村親信 |
孫呼んで手を引かせたる祭かな |
鈴木六花
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遥より祭太鼓の聞え来る |
鈴木六花
|
晒巻き神輿を担ぐ男伊達 |
鈴木康允
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声高く揉みに揉み合ふ神輿かな |
深谷美智子
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葉の影に葉と同じ色実梅生る |
深谷美智子
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母の日の似顔絵並ぶアーケード |
大田武
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奥入瀬の新緑の底水走る |
大田武
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花筏今し運河を遡る |
新井康夫
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産湯の井葵の紋に緑さす |
山崎圭子
|
青葉潮涯は水天一碧に |
山崎圭子
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新緑に包まれ笑める磨崖仏 |
中島彩
|
濃く淡くみどり織りなす若葉山 |
鈴木寛
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耳奥に今も祭の笛太鼓 |
鈴木寛
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藤棚に早や先客の熊ん蜂 |
杉原洋馬
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2016年3月(兼題:「日永、永き日」「春泥」「木の芽」)
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<特選> 3句 |
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木の芽どき木々のつぶやき聞こえさう |
小森葆子
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頬白のこの鳴き声は恋ならむ |
本多悠天 |
時計屋の時刻ばらばら長閑なり |
深谷美智子
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<その他の入選> 25句 |
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大空へ背伸びするかの木の芽かな |
市川毅
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桜餅食べし指先なほ匂ふ |
宮崎勉
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啓蟄や歩幅大きくウオーキング |
宮崎勉
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けんけんの黄色のブーツ春の泥 |
鈴木六花
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春泥に道譲り合ふ散歩かな |
小森葆子
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春泥にタイヤの模様造成地 |
新井康夫
|
お腹まで春泥まみれ散歩犬 |
本多悠天
|
草野球まだ聞えゐて日の永し |
本多悠天
|
靴底の春泥草にぬぐひけり |
深谷美智子
|
職離れ猫を相手の日永かな |
鈴木寛
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露天ぶろ肩にほつほつ春の雨 |
鈴木寛
|
ぶら下がり春泥跳べる幼児かな |
鈴の木正紘
|
春泥の靴はばからず鄙の駅 |
大田武
|
老木の幹に吹く芽の初々し |
大田武 |
白木蓮(はくれん)の咲き漲れる今朝の空 |
鈴木康允
|
ほやの毬抱へゐる木も芽を吹ける |
山崎圭子
|
パパの背に眠りて家路日永し |
山崎圭子
|
隣合ふ山茱萸ミモザ黄を異に |
杉原洋馬
|
アネモネに赤青ピンク黄は見ず |
杉原洋馬
|
羽根開く孔雀を待てる日永かな |
宮田望月
|
名ある木も名のなき木々も芽吹きけり |
宮田望月
|
春泥の靴駅頭に履き替ふる |
野村親信
|
春泥の靴脱ぎ北の旅終はる |
野村親信
|
通るたび木の芽ふくらみ増してをり |
中島彩
|
この桜待たずに行かれ給ひけり |
中島彩
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2016年1月(兼題:「短日、日短か」「炬燵」「初夢」)
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<特選> 3句 |
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初夢のなほその続き見てみたく |
小森葆子
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畝高く葱へ土寄す鍬初め |
鈴木康允 |
爺と孫真剣勝負カルタ取り |
杉原洋馬
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<その他の入選> 23句 |
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初夢のタイムスリップ五十年 |
市川毅
|
丸き背のいよいよ丸く炬燵守る |
小森葆子
|
うたた寝はこの世の浄土春炬燵 |
小森葆子
|
やり残したる庭仕事日短か |
本多悠天
|
短日や仕立てきれずに針片す |
宮田望月
|
晩酌の後のうたたね置炬燵 |
鈴木康允
|
短日や子を呼ぶ声の甲高く |
鈴木康允
|
竿の物はやも取込む日短 |
鈴木寛
|
麻雀のそのままごろ寝掘炬燵つ |
鈴の木正紘
|
干し物のねぢれしままに竿に凍つ |
鈴の木正紘
|
一献を傾けもして炬燵舟 |
中島彩
|
初夢は笑顔のままの父と母 |
中島彩
|
小気味良き音に踏まるる霜柱 |
中島彩
|
二つ三つ灯り初めたる雪の里 |
鈴木六花 |
初夢の曖昧模糊の寝覚めかな |
山崎圭子
|
日時計の律儀短日刻みゆく |
山崎圭子
|
ベランダの梅の小鉢も花芽吹く |
杉原洋馬
|
病床のガラス越しなる雪眩し |
杉原洋馬
|
短日や広げし仕事片付かず |
深谷美智子
|
枯芝にまみれてボール遊びかな |
深谷美智子
|
独り占めしてうたた寝の炬燵かな |
大田武
|
短日や巡り残せる古都の寺 |
野村親信
|
炬燵の火熾す船頭川下り |
野村親信
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2015年11月(兼題:「北風」「柚子湯」「鷹」)
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<特選> 3句 |
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さきがけはどの鷹ならん鷹柱 |
野村親信
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「柚子湯にと」柚子添へらるる回覧板 |
小森葆子 |
疎まれて終へる余生か冬の蠅 |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 21句 |
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伊良湖岬天に点点鷹渡る |
本多悠天
|
北風に歩幅を広く挑みけり |
市川毅
|
一日の区切り柚子湯に如くは無し |
市川毅
|
野仏の膝に散り積む紅葉かな |
宮崎勉
|
長生き湯とや大量の柚子の浮く |
鈴木康允
|
北風の空富士山を近くする |
鈴木康允
|
人参を引く一瞬のときめきて |
鈴木康允
|
北風や筑波嶺遠く位置変へず |
大田武
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帽押さへ北風の中バスを待つ |
新井康夫
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柚子湯入るこの健康の有難さ |
新井康夫
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北風にふと唄ひだす「寒い朝」 |
鈴木寛
|
ほとびたる柚子を柚子湯になほ搾る |
鈴木寛
|
はんなりと小春日和の富士の山 |
中島彩
|
湯上がりの赤子にほのと柚の香かな |
山崎圭子
|
湯浴みする肩にやさしく柚触るる |
山崎圭子
|
北風の中を小走り小買物 |
深谷美智子
|
木枯しの吹き募る夜の長電話 |
深谷美智子
|
なほ残る昨夜(よべ)の柚子湯の香りかな |
深谷美智子
|
冬晴や帰る漁船の水脈太し |
鈴の木正紘
|
掃き寄せて落葉の山を踏んでみる |
杉原洋馬
|
原節子訃報は平成秋日和 |
杉原洋馬
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2015年9月(兼題:「秋高し」「菊人形」「秋刀魚」)
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<特選> 3句 |
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秋高しカウベルの音遥かより |
小森葆子
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どこからも視線の合はず菊人形 |
小森葆子 |
着替へさす菊師は黒子めきにけり |
山崎圭子
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<その他の入選> 22句 |
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海の色留むる秋刀魚焼かれけり |
小森葆子
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少し距離置きて眺むる菊人形 |
市川毅
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天高し村の高みに開拓碑 |
野村親信
|
初日とて水たつぷりと菊人形 |
野村親信
|
天高しヒマラヤ杉の並木道 |
本多悠天
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房総の山並低く天高し |
宮崎勉
|
遠き日の七輪の味秋刀魚焼く |
鈴木康允
|
はらわたも夫の好みや秋刀魚焼く |
鈴木六花
|
わが庭にしばし遊べる秋の蝶 |
鈴木六花
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天高し天守に跳ぬる金の鯱 |
山崎圭子
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宙馳する忍び人形菊を着ず |
山崎圭子
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広小路ぬけて湯島の菊人形 |
鈴木寛
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シーバスの滑り行く海秋高し |
新井康夫 |
信濃路や処々に明るき秋桜 |
中島彩
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安曇野は今を盛りの蕎麦の花 |
中島彩
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爽やかや包丁式の白たすき |
宮田望月
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雲梯を登り切ったる秋高し |
深谷美智子
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献立を考えあぐね秋刀魚焼く |
深谷美智子
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台風に飛びさう雨戸抑へけり |
杉原洋馬
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皿の上綺麗に秋刀魚食ぶる妻 |
大田武
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殿のゴールに拍手天高し |
鈴の木正紘
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梵鐘の一打尾を引く天高し |
鈴の木正紘 |
2015年7月(兼題:「炎天」「浴衣」「金魚」)
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<特選> 3句 |
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一呼吸ありてトンボの羽根下げぬ |
杉原洋馬
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海見ゆる窓辺に置かる金魚玉 |
本多悠天 |
おはようと日々指弾く金魚鉢 |
鈴木寛
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<その他の入選> 29句 |
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夢二の絵めける浴衣の娘かな |
小森葆子
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膝小僧ならべて金魚掬ひかな |
小森葆子
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浴衣縫ふ祖母の使へる鯨尺 |
小森葆子
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金魚田を渡り来る風水匂ふ |
本多悠天
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石鹸の匂ひのほのか浴衣人 |
本多悠天
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炎昼や盛んに動く牛の舌 |
本多悠天
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百葉箱壊れしままや炎天下 |
野村親信
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炎天をものとせずに球児たち |
野村親信
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路地裏に残る一軒金魚売る |
市川毅
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交配の金魚の系譜おもしろく |
市川毅
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炎天下攻めに入りたる登り窯 |
宮崎勉
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掬ひ来し金魚つぎつぎ死ににけり |
鈴木康充
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挨拶の旧知のごとく宿浴衣 |
鈴木康充 |
団扇手にいつの間にやら寝入りけり |
鈴木康充
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フラメンコめける金魚のターンかな |
大田武
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不意に向き変へて泳げる金魚かな |
深谷美智子
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化粧塩まぶれや鮎の姿焼き |
深谷美智子
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浴衣売る下駄帯小物まで揃へ |
山崎圭子
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ちゃん呼びも旧姓呼びも宿浴衣 |
山崎圭子
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一尾づつ糶らるる金魚珍種とか |
山崎圭子
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乗り遅れ次のバス待つ炎天下 |
鈴の木正紘
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尾を振れるほどは進めず金魚の子 |
鈴の木正紘 |
赤信号みな汗を拭く交差点 |
鈴木寛
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ひらひらと金魚尾鰭を自慢げに |
鈴木六花
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宿浴衣古希同窓の集ひかな |
鈴木六花
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電線の垂れ下がりゐる猛暑かな |
新井康夫
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浴衣脱ぎ土俵の稽古相撲取 |
宮田望月
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朝の風涼し散歩の距離のばす |
中島彩
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幼子のいよいよおしやま浴衣着て |
中島彩
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2015年5月(兼題:「紫陽花」「梅雨」(「入梅」「梅雨寒」「梅雨明」等)「更衣」)
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<特選> 3句 |
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新しきダイヤの車掌更衣 |
野村親信
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ダイエット成果少しく更衣 |
小森葆子 |
母の日にもてなす男料理かな |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 20句 |
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紫陽花のほのかに藍をつけ初めり |
本多悠天
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祖母律儀朔日を待ち衣更ふ |
小森葆子
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猫無聊吾もまた無聊梅雨ながし |
小森葆子
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さみだるる彫り幽かなる磨崖仏 |
山崎圭子
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老ゆるともいつも身奇麗更衣 |
市川毅
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断捨離といふ言葉あり更衣 |
鈴木康允
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植ゑるものみな植ゑ終へて四月尽 |
鈴木康允
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畳み皺なかなか消えず更衣 |
深谷美智子
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着る予定なきも出し置く更衣 |
深谷美智子
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吊革の白き二の腕更衣 |
鈴の木正紘
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この頃はクールビズとや更衣 |
鈴木寛
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黄菖蒲の花の縁取る阿字が池 |
新井康夫 |
ふところに一宇の御堂山笑ふ |
新井康夫 |
紫陽花に降る雨紫陽花色となる |
中島彩
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朝ごとにゴーヤの棚に蔓からむ |
宮田望月
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ポケットの減りて戸惑ふ更衣 |
大田武
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更衣きのふと同じ腕時計 |
大田武
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植木屋と世間話や衣更へ |
鈴木六花
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紫陽花の水色淡き恋に似て |
杉原洋馬
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教室は白一色や更衣 |
野村親信
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2015年3月(兼題:「啓蟄」「春灯」)
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<特選> 3句 |
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穴出づる蟻に入る蟻ぶつからず |
本多悠天
|
木漏れ日の輪に浮かびたる落椿 |
i市川毅 |
天敵の多き世地虫出でにけり |
小森葆子
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<その他の入選> 24句 |
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春の灯の暗さも宿坊らしきかな |
小森葆子
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白木蓮天に奉ぐる燭めけり |
宮田望月
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蛇の出てつまづくゴルフショットかな |
宮崎勉
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地虫出づ動きせはしき鳩の首 |
鈴木寛
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野仏の陽だまり早も福寿草 |
鈴木康允
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新品種取り寄せ畑を耕せり |
鈴木康允
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春灯を引き寄せ稿に向かひけり |
鈴木六花
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啓蟄や旅立ちの靴新しく |
鈴木六花
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啓蟄や吾を待つなる庭仕事 |
山崎圭子
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亡父(ちち)の手の母の遺句集春燈下 |
山崎圭子
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朦々の湯けむり包む春ともし |
大田武
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傍らの梅の香れる供養塔 |
新井康夫 |
長閑なり句作に耽る今日ひと日 |
新井康夫 |
地に落つもなほ凛とし紅椿 |
杉原洋馬
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啓蟄の野良に二三の人の影 |
市川毅
|
啓蟄や歩幅で測る畝の丈 |
鈴の木正紘
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出欠を迷ふ返信鳥雲に |
鈴の木正紘
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咲き急ぎ且つ散り急ぐ桜かな |
中島彩
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手に乗せて啓蟄の土ほぐしけり |
深谷美智子
|
受験子の絵馬絵馬掛けにあふれをり |
深谷美智子
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穴出でて翅ある虫のまだ飛ばず |
本多悠天
|
信濃路やどちらを向くも山笑ふ |
本多悠天 |
雨上り啓蟄の土匂ひ立つ |
野村親信
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蔀戸を上ぐる本陣春灯 |
野村親信
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2015年1月(兼題:「新年」「おでん」「雪」)
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<特選> 3句 |
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念入りに包丁研ぐも年用意 |
鈴木康允
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おでん煮て妻は3日の留守を告ぐ |
小森葆子 |
物干しに一間とられて雪に住む |
山崎圭子
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<その他の入選> 13句 |
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どこまでも雪のシベリア飛機の窓 |
小森葆子
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留守頼む夫に好物おでん鍋 |
鈴木六花
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挨拶は今年限りといふ賀状 |
深谷美智子
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正月や聞かざるものに羽子の音 |
宮崎勉
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落し物らしきが載れる雪だるま |
本多悠天
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すつぽりと雪に包まる峡の村 |
鈴の木正紘
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日本に神仏ありて初詣 |
野村親信
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とりどりのおでんの種に箸迷ふ |
市川毅
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リビングの硝子戸ごしに色鳥来 |
杉原洋馬
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降る雪や父のおはさば白寿ほど |
鈴木寛
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まはり道足裏(あうら)に踏める霜柱 |
中島彩
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正月や笹竹しなる大漁旗 |
大田武 |
アシカの背いよよ輝き春近し |
宮田望月
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2014年11月(兼題:「枯野」及び「クリスマス」)
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<特選> 3句 |
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園児みな天使となりぬクリスマス |
鈴木六花
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初時雨喪中葉書の来初(そ)めけり |
杉原洋馬 |
枯野原忘れ物めく道標 |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 25句 |
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神子を抱く聖母の白さクリスマス |
本多悠天
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踏み入れて枯野こんなに広きとは |
本多悠天
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おしろいに口紅ちよつと七五三 |
宮崎勉
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法要の一日終はり石蕗の花 |
宮崎勉
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枯野原ベンチひとつの無人駅 |
鈴木康允
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濃く淡く枯野の色のさまざまに |
鈴木六花
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雨に濡れいよよ蕭々枯野道 |
鈴木六花
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枯野行く列車廃線近きとか |
小森葆子
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あかあかと枯野の果てに日の入りぬ |
小森葆子
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微笑める石仏並ぶ枯野径 |
鈴の木正紘
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大枯野落暉に今ぞ染まるかな |
山崎圭子
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崩れ簗それらしき杭遺るのみ |
山崎圭子 |
峠より大河の見ゆる枯野かな |
満江信之
|
はしなくも石投げてみる枯野かな |
鈴木寛
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紅葉狩老いのハーレー列なせり |
鈴木寛
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唐突に富士現はるる枯野かな |
中島彩
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ケーキ切る手元見つめるクリスマス |
新井康夫
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煙立つ谷戸の一寺は落葉焚く |
新井康夫
|
ひよつとして枯野のここも遺跡かな |
市川毅
|
冠に星をかざして聖夜劇 |
深谷美智子
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江戸前と白きのれんや冬に入る |
宮田望月 |
タクシーの一台きりや枯野駅 |
大田武
|
空薬莢散らばりゐたる枯野道 |
大田武
|
舞台から母探しをる聖夜劇 |
野村親信
|
電飾の坩堝聖夜の摩天楼 |
野村親信
|
2014年9月(兼題:「萩」及び「夜長」)
|
|
<特選> 3句 |
|
妻と我趣味それぞれの夜長かな |
市川毅
|
灯る窓ひとつひとつの夜長かな |
大田武 |
蟷螂(かまきり)の鎌の構へに隙見せず |
杉原洋馬
|
<その他の入選> 26句 |
|
胸一杯抱へこみては萩括る |
本多悠天
|
はかどらぬ写真の整理夜の長し |
本多悠天
|
狭き路更に狭むる枝垂れ萩 |
本多悠天
|
寺男萩の塵掃き萩自慢 |
野村親信
|
奔放に四方八方萩しだれ |
野村親信
|
みちのくの民話に旅の夜長更け |
野村親信
|
佳き言葉出会へる詩集灯親し |
野村親信
|
石畳雨に零るる萩の花 |
宮崎勉
|
日日草二人暮しのつつましく |
宮崎勉
|
萩揺るるシャターチャンス待ちにけり |
小森葆子
|
ラジオ聴きながらの読書夜の長く |
鈴の木正紘 |
太梁の貫ける土間夏炉焚く |
鈴の木正紘
|
山門を抜けくる風に萩乱る |
大田武
|
風にまた人にこぼるる寺の萩 |
山崎圭子
|
柚子坊の餌の葉色に太りけり |
山崎圭子
|
薄の穂解きしばかりの滑らかに |
杉原洋馬
|
切通し左右より萩のしだれけり |
鈴木康允
|
石段の萩を掻き分け寺に入る |
新井康夫
|
長き夜や酒酌み交はす人あらば |
新井康夫
|
紅白の萩のアーチや百花園 |
中島彩 |
唐突に香りて気付く金木犀 |
中島彩
|
夕風に萩の白花際立ちぬ |
鈴木寛
|
眠れねばそれもよしとす夜長かな |
鈴木寛
|
咲き残る萩の乱るる白毫寺 |
深谷美智子
|
こまごまとして慎ましき萩の花 |
鈴木六花
|
萩こぼることに赤きはいとほしく |
宮田望月
|
2014年9月(兼題:「萩」及び「夜長」)
|
|
<特選> 3句 |
|
妻と我趣味それぞれの夜長かな |
市川毅
|
灯る窓ひとつひとつの夜長かな |
大田武 |
蟷螂(かまきり)の鎌の構へに隙見せず |
杉原洋馬
|
<その他の入選> 26句 |
|
胸一杯抱へこみては萩括る |
本多悠天
|
はかどらぬ写真の整理夜の長し |
本多悠天
|
狭き路更に狭むる枝垂れ萩 |
本多悠天
|
寺男萩の塵掃き萩自慢 |
野村親信
|
奔放に四方八方萩しだれ |
野村親信
|
みちのくの民話に旅の夜長更け |
野村親信
|
佳き言葉出会へる詩集灯親し |
野村親信
|
石畳雨に零るる萩の花 |
宮崎勉
|
日日草二人暮しのつつましく |
宮崎勉
|
萩揺るるシャターチャンス待ちにけり |
小森葆子
|
ラジオ聴きながらの読書夜の長く |
鈴の木正紘 |
太梁の貫ける土間夏炉焚く |
鈴の木正紘
|
山門を抜けくる風に萩乱る |
大田武
|
風にまた人にこぼるる寺の萩 |
山崎圭子
|
柚子坊の餌の葉色に太りけり |
山崎圭子
|
薄の穂解きしばかりの滑らかに |
杉原洋馬
|
切通し左右より萩のしだれけり |
鈴木康允
|
石段の萩を掻き分け寺に入る |
新井康夫
|
長き夜や酒酌み交はす人あらば |
新井康夫
|
紅白の萩のアーチや百花園 |
中島彩 |
唐突に香りて気付く金木犀 |
中島彩
|
夕風に萩の白花際立ちぬ |
鈴木寛
|
眠れねばそれもよしとす夜長かな |
鈴木寛
|
咲き残る萩の乱るる白毫寺 |
深谷美智子
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こまごまとして慎ましき萩の花 |
鈴木六花
|
萩こぼることに赤きはいとほしく |
宮田望月
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2014年7月(兼題:「サングラス」及び「水遊び」)
|
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<特選> 3句 |
|
サングラス掛ければ別の人となる |
宮崎勉
|
サングラスかけて歩幅の広がりぬ |
小森葆子 |
気づかれぬことも寂しやサングラス |
小森葆子
|
<その他の入選> 18句 |
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サングラスはずし拝礼御神前 |
鈴の木正紘
|
サングラス奥に微笑む目の透けて |
大田武
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サングラス取れば親しみやすき人 |
深谷美智子
|
水鉄砲わざとうたれてやりにけり |
本多悠天
|
口元を際立たせゐるサングラス |
本多悠天
|
サングラス別れの言葉さりげなく |
野村親信
|
とりいれの済みしになほも実梅落つ |
杉原洋馬
|
ばつさりと髪を短く夏来る |
鈴木康允
|
松手入れ塀の外まで香りけり |
満江信之
|
本心は何処にありやサングラス |
市川毅
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飛沫上げもんどり打てるカヌーかな |
小森葆子 |
背の少し伸びたるここちサングラス |
鈴木寛
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サングラス掛け出たもののすぐ外す |
新井康夫
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よじ登るまま空蝉の止まりをり |
中島彩
|
今もある柾目の盥水遊び |
山崎圭子
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某女史に似ると言はれてサングラス |
山崎圭子
|
立葵乗り出してをり隣塀 |
鈴木六花
|
逆光に葉の透けゴーヤ棚涼し |
宮田望月
|
2014年5月(兼題:「新茶」及び「草笛」)
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<特選> 3句 |
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草笛の節らしきものついてきぬ |
本多悠天
|
草笛の突と鳴りしがそれつきり |
山崎圭子 |
しづくまで平等につぐ新茶かな |
本多悠天
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<その他の入選> 27句 |
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茶柱の立つがうれしき新茶かな |
野村親信
|
草笛の名手あれこれ吹いて見せ |
野村親信
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新茶汲む母好まれし九谷焼 |
鈴木六花
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茶切り節聞かせもすなる新茶祭 |
鈴木六花
|
まだ折り目目立つ新茶の幟かな |
大田武
|
笠智衆気取りに新茶汲みにけり |
鈴木康允
|
切り口の襞の美し若竹煮 |
鈴木康允
|
草笛のドレミ狂ひつぱなしかな |
鈴の木正紘
|
ゆつたりと急須を回す新茶かな |
鈴の木正紘
|
針のごと細き手揉みの新茶かな |
宮崎勉
|
残雪の富士真向ひに茶を摘める |
宮崎勉 |
草笛を吹けば故郷の懐かしく |
宮崎勉
|
先づもつて色香を賞づる新茶かな |
小森葆子
|
山々のモザイクなせる緑かな |
小森葆子
|
新茶売る茶葉の色なる店のれん |
山崎圭子
|
梳きしかに畝揃ひたる茶山かな |
山崎圭子
|
草笛や吹く息さぐりさぐりして |
山崎圭子
|
白磁にぞ映ゆるさみどり新茶汲む |
深谷美智子
|
おもむろに舌にころがす新茶かな |
本多登代子
|
下校児の二人の競ふ草の笛 |
本多登代子
|
ビル陰の狭き庭にも蝶来たる |
新井康夫
|
飲み干してなほ香り立つ新茶かな |
中島彩
|
一仕事終へたる安堵新茶汲む |
市川毅
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草笛を教へる子供得意顔 |
鈴木寛
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老鶯と我の口笛呼応せり |
杉原洋馬
|
力漲れり皇帝ダリアの芽 |
杉原洋馬
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新緑の尾根や意外に富士近し |
満江信之
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2014年3月(兼題:「燕」及び「野遊」)
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<特選> 3句 |
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「ルリハコベ」とぞ名付けたしイヌフグリ |
杉原洋馬
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風光る野にいざ出でよ句材満つ |
杉原洋馬 |
土間汚す糞も詮無し燕の巣 |
小森葆子
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<その他の入選> 28句 |
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しおむすび携へもして野に遊ぶ |
本多悠天
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電線の燕の親子音符めく |
本多悠天
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燕来る庇の深き一揆寺 |
鈴の木正紘
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野遊や寝ころぶ草の陽の匂ひ |
鈴の木正紘
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縄文土器出土せし野に遊びけり |
宮崎勉
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燕飛ぶ一直線の影を曳き |
市川毅
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大空に二転三転つばくらめ |
鈴木康允
|
箱を出て眩しげにます雛かな |
鈴木康允
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初つばめ友への手紙ポストまで |
鈴木六花
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燕飛ぶその眼下には磨崖仏 |
中島彩
|
やはらかき光まとへる花菫 |
中島彩 |
病む母の細き手首や室の花 |
満江信之
|
釈迦のみは微笑おはす涅槃変 |
本多登代子
|
あらば何をか摘まむ野に遊ぶ |
本多登代子
|
足元を今過ぎりしは燕かな |
新井康夫
|
野遊や陽の温みある草に寝る |
新井康夫
|
初燕なにかいいことありさうな |
鈴木寛
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野遊のポニーテールの揺れ通し |
鈴木寛
|
腹這へば犬も腹這ひ野に遊ぶ |
鈴木寛
|
敷物を要に四方(よも)の野に遊ぶ |
小森葆子
|
おにぎり派サンドイツチ派野に遊ぶ |
小森葆子
|
小流れに笹舟流し野に遊ぶ |
山崎圭子
|
フォークダンスせし日懐かし野に遊ぶ |
山崎圭子
|
土筆摘む重機の動くかたわらで |
深谷美智子
|
戻りたる子の靴春の泥まみれ |
深谷美智子
|
みはるかす大極殿や土筆摘む |
宮田望月
|
野遊の帰りは父の背に眠る |
野村親信
|
野遊や体験乗馬してみたく |
野村親信
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2014年1月(兼題:「賀状」及び「悴む」)
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<特選> 3句 |
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百歳は叶はぬまでも冬至風呂 |
鈴木康允 |
鏡文字混ざるもうれし一賀状 |
山崎圭子 |
高揚がりして大凧のカルタほど |
山崎圭子
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<その他の入選> 28句 |
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一筆の添へ書き嬉し年賀状 |
小森葆子
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恙無きことに安堵す賀状かな |
小森葆子
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悴む字判読難き句帳かな |
小森葆子
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渡し跡名残りの杭に都鳥 |
小森葆子
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悴みてことさら風呂の熱きかな |
鈴木寛
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近道の路地から路地へ福詣り |
鈴木寛
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気迫ある馬の版画や年賀状 |
深谷美智子
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戻り来し賀状に友の案じられ |
深谷美智子
|
悴んで紐結ぶ手のもどかしき |
深谷美智子
|
悴める手に駅伝の襷待つ |
野村親信
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悴むも反骨心の無くもなし |
野村親信 |
賀状くる我が家の犬に医院より |
宮崎勉
|
病室の老母を想ふ霜夜かな |
満江信之
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年賀状だけの縁の五十年 |
鈴の木正紘
|
今年また賀状の数の減りにけり |
新井康夫
|
落葉焚く香り漂ふ谷戸の寺 |
新井康夫
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これまでとこれからのこと賀状書く |
鈴木六花
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悴みて投ず賽銭箱を逸れ |
山崎圭子
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レスキューの訓練にして悴まず |
本多登代子
|
白蛇の棲める大樟注連替ふる |
本多登代子
|
正座して孫の御慶を受けにけり |
市川毅
|
ひもすがら富士山を背に大根抜く |
中島彩
|
きらきらと光が踊る春の海 |
中島彩
|
悴む手摺り合わせてはキーを打つ |
杉原洋馬
|
逆光に雪かと見れば葦の絮 |
杉原洋馬
|
向かひ風頬の皹には障らずや |
宮田望月
|
今エーゲ海のはずてふ年賀状 |
本多悠天
|
五人の子名前並ぶる賀状かな |
本多悠天
|
2013年11月(兼題:「時雨」及び「大根」(「大根畑」「大根引く」「大根干す」等々))
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<特選> 3句 |
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抜いて欲しげに大根の抜きん出る |
本多登代子 |
樹々高き武蔵野の空鳥渡る |
深谷美智子 |
ふりむけば今来し道の時雨をり |
宮崎勉
|
<その他の入選> 33句 |
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菊坂に一葉偲ぶ時雨かな |
本多悠天
|
畑に焚く煙まつすぐ天高し |
本多悠天
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瑞々し今朝干されたる大根らし |
鈴木六花
|
古書市の売り子の走る時雨かな |
鈴木六花
|
松手入れをりをり光る鋏かな |
宮崎勉
|
木枯らしに向かひて後ろ振り向かず |
鈴木康允
|
つくばひを濡らし時雨の去りにけり |
満江信之
|
夕富士の黒く浮かびて秋深し |
満江信之
|
雪吊りの縄投ぐる声響きけり |
満江信之
|
時雨るるや旅の姿の翁像 |
山崎圭子
|
大文字山は日当たり御所しぐれ |
山崎圭子 |
富士山にひつ掛くるかに大根干す |
山崎圭子
|
畝は今歯抜けの様の大根畑 |
山崎圭子
|
白肌に刃先ためらふ大根かな |
鈴の木正紘
|
開いてはまたすぐ閉づる時雨傘 |
鈴の木正紘
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時雨るるやタオル頭に川原の湯 |
鈴木寛
|
大根煮る妣(はは)の年齢疾うに過ぎ |
鈴木寛
|
湖上へと流るる早さ時雨雲 |
本多登代子
|
石蕗の花そこだけぽつと明るくて |
杉原洋馬
|
てらてらと冬陽に映ゆる黄八丈 |
宮田望月
|
長谷寺の法螺の音包む時雨かな |
中島彩
|
潮風のまともな処大根干す |
中島彩
|
箸入れてくづるるほどの大根かな |
深谷美智子
|
時雨るるも高千穂峡の旅よろし |
市川毅
|
道端に食む都井の馬天高し |
市川毅
|
土黒き左千夫の里に大根引く |
野村親信
|
振分け棒撓ますほどに大根干す |
野村親信
|
切干や安房の潮風安房の陽に |
野村親信
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母の味輪切り大根飴色に |
小森葆子
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番傘の油のにほふ時雨かな |
小森葆子
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立ち読みにいつしか時雨過ぎにけり |
小森葆子
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目を上ぐる時雨もやうの窓の外 |
新井康夫
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風呂吹きに八丁味噌の如くはなし |
新井康夫
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2013年9月(兼題:「ぬくめ酒」、「水澄む」)
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<特選> 3句 |
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今日のこと今日なし終へてぬくめ酒 |
鈴木六花 |
極秘めく固く巻かれし落とし文 |
小森葆子 |
海山の幸あり酒を温めん |
野村親信
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<その他の入選> 22句 |
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皆眠り孤高の月となりにけり |
本多悠天
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老い二人引越しの夜の温め酒 |
鈴木寛
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奥入瀬の瀬音の高く水澄めり |
宮崎勉
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ぐいのみになみなみ注ぐるぬくめ酒 |
鈴の木正紘
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油揚げ焼いて独りのぬくめ酒 |
鈴の木正紘
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ひとひらの菊花浮かぶる温め酒 |
鈴木康允
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吊り橋を初紅葉へと渡りけり |
満江信之
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千尋の谷底を縫ふ水澄めり |
満江信之
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天地の恵みの酒やあたためむ |
野村親信
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水底に白磁のかけら水澄める |
深谷美智子
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汀草みな折れ伏しぬ秋出水 |
深谷美智子 |
合掌村戸毎に引ける水澄める |
山崎圭子
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そぞろ寒背筋を伸ばし朝散歩 |
中島彩
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風の盆お座りあれと軒に椅子 |
宮田望月
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澄む水にねんごろに筆洗ひけり |
市川毅
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足許に葛の花屑高きより |
杉原洋馬
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太鼓橋上下対称水澄めり |
本多登代子
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行く雲を写して水の澄みにけり |
本多登代子
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下戸とても香りが好きや温め酒 |
小森葆子
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病癒ゆ五臓にやさし温め酒 |
小森葆子
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名にし負ふ宗祇水なり澄みに澄む |
小森葆子
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見晴かす富士と茶畑秋天下 |
小森葆子
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2013年7月(兼題:「登山」(「登山靴」、「登山宿」、「登山小屋」、「登山帽」等登山に関するもの)及び「夕立」(ゆだち・ゆうだち、「夕立雲」、「夕立晴」等)
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<特選> 3句 |
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尾根道の雲に消えゐる登山かな |
本多悠天 |
登山道尻目に我はロープウエイ |
山崎圭子 |
もつと右もつと前よと西瓜割り |
鈴木寛
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<その他の入選> 22句 |
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大夕立去りて天地の新たなり |
本多悠天
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畑に鍬捨て置かれあり大夕立 |
小森葆子
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裏山へ祖母の手をとり登高す |
小森葆子
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登山杖拾ひし辺りにて捨つる |
野村親信
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倒木を跨ぎもすなる登山道 |
野村親信
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日のぬくみ残れる日傘畳みけり |
深谷美智子
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夕立に追はるるごとく郵便夫 |
鈴の木正紘
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靴の紐締め直しもす登山口 |
鈴の木正紘
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声交はし譲り譲らる登山道 |
鈴の木正紘
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雷鳴にクモの子散らす子供達 |
満江信之 |
竿の物取り込み敢へず夕立来る |
宮崎勉
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農小屋を開くるや落ち来守宮かな |
鈴木康允
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広重の絵の夕立や庄野宿 |
市川毅
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木道にしばし息つく登山かな |
新井康夫
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馬頭尊祀れる祠登山口 |
山崎圭子
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天下布武なる城の跡登高す |
山崎圭子
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打ち枝を杖にどうぞと登山口 |
山崎圭子
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夕立来と一目散に子らかくる |
鈴木六花
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雷鳴や機銃掃射の如き雨 |
鈴木寛
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涼しげに笑まひ給へる伎芸天 |
中島彩
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山百合に下山の疲れ忘れけり |
杉原洋馬
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髪上げてどこか大人ぶ浴衣の子 |
鈴木寛
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2013年5月(兼題:「更衣」、「明易し」)
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<特選> 3句 |
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草を食む羊の親子聖五月 |
本多悠天 |
山盛りの蚕豆剥けば一握り |
鈴木康允 |
住職の黒から黒へ更衣 |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 24句 |
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襟もとのあたりすつきり更衣 |
本多悠天
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気付きたる昨年の染みや更衣 |
本多悠天
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鶏鳴(けいめい)に麓の村の明易し |
小森葆子
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坊泊り僧の気配に明易し |
小森葆子
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更衣女将ひときは颯爽と |
小森葆子
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苔茂る水掛不動台座まで |
本多登代子
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明易や朝刊配るバイク音 |
宮崎勉
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老いたれば派手目の色に更衣 |
宮崎勉
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歴史の書今し佳境や明易し |
鈴木寛
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これを機に捨つるものあり更衣 |
鈴木寛
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襟足を少し刈上げ更衣 |
鈴の木正紘
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更衣今もブリキの衣裳缶 |
深谷美智子
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揺れ交す虞美人草は触れ合はず |
深谷美智子
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ふるさとへふと帰りたし更衣 |
鈴木六花
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母と子のペアールツクや更衣 |
山崎圭子
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手も足も長き少女や更衣 |
山崎圭子
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もてなしは朴の若葉のちらし寿司 |
宮田望月
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まどろみて夢は中程明易し |
新井康夫
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鳥たちの声に目が覚め明易し |
市川毅
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浮けるかに遥かに朴の花高し |
杉原洋馬
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殊のほか樹冠ひしめく楠若葉 |
杉原洋馬
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樟脳は祖母の匂ひや更衣 |
野村親信
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様々な鳥の声して明易し |
中島彩
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どくだみに占居されゐる狭庭かな |
中島彩
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2013年3月(兼題:「風光る」、「苗札」)
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<特選> 3句 |
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苗札の下がりてただの棒ならず |
山崎圭子 |
露座仏の広やかな胸風光る |
本多悠天 |
何もなき畝に苗札のみ並ぶ |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 21句 |
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鯉跳ねて飛びちるしぶき風光る |
本多悠天
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苗札に園児らの絵の描かれあり |
本多悠天
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激戦のありし赤壁風光る |
野村親信
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苗札に書き添へあるは花言葉 |
野村親信
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山盛りに椀によそへる浅蜊汁 |
鈴木康允
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城垣の反り美しく風光る |
宮崎勉
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苗札の表洋名裏和名 |
本多登代子
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遡るごとき川波風光る |
本多登代子
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満々と水を張る田に風光る |
中島彩
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苗札を挿して園児の手を合はす |
市川毅
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新調の子の黄帽子に風光る |
市川毅
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ミサの丘十字架に風光りけり |
山崎圭子
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札の名は違へども芽の相似たる |
小森葆子
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対岸に並べる風車風光る |
小森葆子
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パレードのバトンに風の光りけり |
小森葆子
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伸びきれるクレーンの首に風光る |
鈴の木正紘
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一歳の一歩踏み出す春の土 |
鈴の木正紘
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陽の匂ひ風の匂ひや野に遊ぶ |
深谷美智子
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切れば血のほとばしるべし薔薇新芽 |
杉原洋馬
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箱根路の登山電車に風光る |
鈴木寛
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肌を刺す針にも似たり寒の冷え |
満江信之
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2013年1月(兼題: 「山眠る」(「眠る山」)、「鮟鱇」)
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<特選> 3句 |
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トンネルを貫通させて山眠る |
本多悠天 |
繭玉や障子越しなる機の音 |
山崎圭子 |
吊し切りショーを見てより鮟鱇鍋 |
野村親信
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<その他の入選> 23句 |
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鮟鱇の口笑ふかに見えにけり |
本多悠天
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初場所の櫓太鼓や大鵬逝く |
本多悠天
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山眠るその懐に我が生家 |
鈴の木正紘
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まづもつて仰ぐ百段初詣 |
鈴の木正紘
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鮟鱇の吊るされ居るも笑ふかに |
小森葆子
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神の鈴抱かれて鳴らす初詣 |
小森葆子
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鏡文字混じる幼なの年賀状 |
小森葆子
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一夜にて眠れる山の雪化粧 |
鈴木六花
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拍手を田の神に打ち鍬始 |
鈴木康允
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老いたりと言つてはをれず雪を掻く |
鈴木寛
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エレベータ開くや雛に迎へらる |
鈴木寛
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父母の墓ふところ深く山眠る |
宮崎勉
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垂涎の初版本なり読始む |
本多登代子
|
鮟鱇の腹トロ箱を溢れさう |
山崎圭子
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水茎の草書ゆかしき賀状かな |
深谷美智子
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屠蘇うくる卒寿の母の杯小さく |
深谷美智子
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わらべうた辻に響かせ灯油売り |
宮田望月
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門口に箒片手の御慶かな |
中島彩
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回文もまためでたかり宝船 |
新井康夫
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老妻は新札用意お年玉 |
市川毅
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つややかな厚き葉のぞく雪椿 |
杉原洋馬
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お袋の田舎便りに餅届く |
満江信之
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長々と裾曳く富士の眠りけり |
満江信之
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2012年11月(兼題: 「木の葉髪」、「短日・日短・暮早し」)
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<特選> 3句 |
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着せ替へて香りの新た菊人形 |
本多悠天 |
木の葉髪子に従ふも親心 |
本多登代子 |
コンクリの壁がキャンバス蔦紅葉 |
中島彩
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<その他の入選> 22句 |
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長き影踏み短日の帰路急ぐ |
本多悠天
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塒へと急げるカラス暮早し |
本多登代子
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捨てられぬ物に囲まれ木の葉髪 |
本多登代子
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鷹柱伊良湖の天を統ぶるかに |
鈴木康允
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もれもなく日当る百の吊し柿 |
鈴木康允
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なすべきを終へきらずして日短 |
小森葆子
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在るがまま生きて来たりぬ木の葉髪 |
小森葆子
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暮早し少し早めの縄暖簾 |
鈴の木正紘
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初恋を未だ心に木の葉髪 |
宮崎勉
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どこからか雨戸閉む音暮早し |
中島彩
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旅先の路地に迷へり秋の暮 |
深谷美智子
|
小春日や富士の輪郭まろやかに |
深谷美智子
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休まずに生涯講座木の葉髪 |
野村親信
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櫛入るるのみの粧ひ木の葉髪 |
野村親信
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戸締りに立ち出で暫し月をめづ |
新井康夫
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孤独死の紙面に拾ふ木の葉髪 |
鈴木寛
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短日の酒恋ふ刻となりにけり |
鈴木寛
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ひとりでに灯る街灯暮早し |
山崎圭子
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はやクレーン首折りて並ぶ暮早し |
山崎圭子
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木の葉髪太めの櫛にこぼれけり |
鈴木六花
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コスモスの恋から既に半世紀 |
杉原洋馬
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高々と仰ぐ皇帝ダリアかな |
杉原洋馬
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2012年9月(兼題:「夜長」、「爽やか」、「蜻蛉」)
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<特選> 3句 |
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夜の長し時計の針の遅遅として |
小森葆子 |
大言海言葉と遊ぶ夜長かな |
野村親信 |
赤子には赤子の夜長ありにけり |
宮崎勉
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<その他の入選> 24句 |
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爽やかや路地には路地の風のあり |
本多悠天
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利根河原編隊めける赤蜻蛉 |
本多悠天
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爽涼や戸外へ一歩夜勤明け |
小森葆子
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湯上り児シャボンの匂ひさわやかに |
本多登代子
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爽やかや口衝いて出るありがたう |
本多登代子
|
宇治十帖いよいよ佳境灯親し |
本多登代子
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無農薬畑なんです赤とんぼ |
鈴木康允
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東北展大槌町産今年酒 |
鈴木康允
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朝顔の今朝は昨日と同じ数 |
深谷美智子
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良き詩の言葉を探る夜長かな |
野村親信
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爽やかに闘病の日々語らるる |
野村親信
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爽やかや伝ひ歩きの得意顔 |
鈴の木正紘
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蜻蛉の目の玉顔を隠しけり |
鈴の木正紘
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爽やかやここまでずっと青信号 |
鈴木寛
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ビル群の進みゐるかに野分雲 |
鈴木寛
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爽やかな風吹き渡るテラス席 |
中島彩
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源氏物語ひもとく夜長かな |
中島彩
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茅葺を守り継げる里あきつ群る |
山崎圭子
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とんぼ群るここらかつての古戦場 |
山崎圭子
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映画観て夜長の街に出たりけり |
新井康夫
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ほろ酔ひや街の夜風の爽やかに |
新井康夫
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ヱノコロの勝手気ままに向く穂先 |
杉原洋馬
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ふと過ぎる風にとんぼの乗りにけり |
鈴木六花
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信濃路や行く先々の爽やかに |
鈴木六花
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2012年7月(兼題:「避暑」と「氷菓」)
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<特選> 3句 |
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聞き慣れぬ鳥に目覚めぬ避暑の宿 |
本多悠天 |
画廊あり美術館あり避暑散歩 |
山崎圭子 |
図書館に読書三昧避暑気分 |
鈴の木正紘
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<その他の入選> 20句 |
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避暑客に混み合ふ朝の河童橋 |
本多登代子
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ウエストン碑を訪ねんと避暑散歩 |
本多登代子
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富士と湖一望の丘避暑の宿 |
本多悠天
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計画の盛り沢山や避暑の旅 |
宮崎勉
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公園は物音もなく油照り |
宮崎勉
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汗入るる一樹のあらず鍬を打つ |
鈴木康允
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此処にまた富士の湧水避暑散歩 |
山崎圭子
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甲板にファションさまざま避暑の客 |
深谷美智子
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アンテイーク売る店もある避暑地かな |
深谷美智子
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遠き日のあのガラス器のかき氷 |
鈴木寛
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奥穂高望むテラスに氷菓食ぶ |
杉原洋馬
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せせらぎの音近々と避暑の宿 |
中島彩
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殊のほか温泉よろし避暑の宿 |
新井康夫
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雲海を突き破りをり槍ケ岳 |
満江信之
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何でも屋閉ぢて避暑期の果てにけり |
小森葆子
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文豪の避暑の部屋とてありしまま |
小森葆子
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舌(ベロ)出して色競ひ合ふかき氷 |
鈴木六花
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朝散歩朝湯楽しむ避暑の宿 |
鈴木六花
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避暑散歩にも万歩計手離さず |
野村親信
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かすかなる瀬音に目覚む避暑の宿 |
野村親信
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2012年5月(兼題:「黴」、「牡丹」)
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<特選> 3句 |
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詰襟のアルバム写真黴臭ふ |
本多悠天 |
キャンバスに納まりきらぬ牡丹かな |
中島彩 |
アルバムの黴払ひつつページ繰る |
中島彩 |
<その他の入選> 20句 |
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尻高く牡丹の芯に蜂潜る |
小森葆子
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黴臭ふ空白多き父の日記 |
野村親信
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旅衣重ぬる貴船青葉冷え |
野村親信
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衰兆す花は摘まるる牡丹園 |
本多悠天
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黒き虫蕊に潜れる白牡丹 |
本多悠天
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ありし日の通勤靴に黴の花 |
鈴木康允
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黴の香や捲る亡父の住所録 |
鈴の木正紘
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思ひ出のスタジャンどこか黴臭ふ |
満江信之
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飼ひ犬の出迎へくるる黴の宿 |
宮崎勉
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その上(かみ)の鰊御殿や富貴草 |
宮崎勉
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竹の皮落ち重なりて静かなり |
中島彩
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頤和園の牡丹かくやと思ひけり |
鈴木寛
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たまさかに開けば原書黴臭ふ |
新井康夫
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楠大樹老木にして若葉燃ゆ |
杉原洋馬
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アメンボの面対称の影踏まふ |
杉原洋馬
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牡丹咲く浄土を模せる庭園に |
山崎圭子
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花ひとつひとつに牡丹杖貰ふ |
山崎圭子
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牡丹の崩るるさまにどつと散る |
深谷美智子
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美術展出でてまぶしき新樹かな |
深谷美智子
|
一歩して古き洋館黴にほふ |
宮田望月
|
2012年3月(兼題:「しやぼん玉」と「下萌え」)
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<特選> 3句 |
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しゃぼん玉スカイツリーに向けて吹く |
本多悠天 |
萌ゆる草なべて尖れど柔らかく |
小森葆子 |
兄吹けば妹追へるしゃぼん玉 |
鈴の木正紘 |
<その他の入選> 23句 |
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舗装路の割れ目に早も萌ゆるもの |
本多悠天
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しゃぼん玉吹く子の目玉寄りにけり |
本多悠天
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下萌えや南アルプス遥かにす |
鈴木康允
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日の高く土手に輝くいぬふぐり |
小森葆子
|
息止めて割れじと祈るシャボン玉 |
小森葆子
|
しゃぼん玉消え行く先の青き空 |
市川毅
|
今がすぐ過去となりゆくシャボン玉 |
宮崎勉
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下馬とのみ一碑傾ぶき下萌ゆる |
山崎圭子
|
昨日今日なるに下萌え目に確か |
山崎圭子
|
雨音のいつしか絶えて雪となる |
新井康夫
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飛石のひとつひとつに下萌ゆる |
鈴木六花
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めざましを止めてまどろみ春の夢 |
満江信之
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湧きいづる調べのごとくしゃぼん玉 |
深谷美智子
|
打ち捨てしままの鉢にも草萌ゆる |
深谷美智子
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野球場跡広々と下萌ゆる |
鈴の木正紘
|
一振りの鍬にかがやく春の土 |
鈴の木正紘
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下萌えを散歩の足に踏むまじく |
中島彩
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一面を染める瑠璃色犬ふぐり |
中島彩
|
しゃぼん玉音符のやうに連なりて |
鈴木寛
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また一輪椿落ちたる夕べかな |
杉原洋馬
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たむろして駅華やぎぬ卒業子 |
杉原洋馬
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色さびし夜に吹くなるしゃぼん玉 |
野村親信
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天地の力漲り下萌ゆる |
野村親信
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2012年1月(兼題:兼題:「雪」(雪おろし、吹雪、雪だるま、雪礫、雪の宿、雪晴、雪目など雪に関するもの)、「探梅」(梅探る))
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<特選> 2句 |
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求道の如みな無口雪を掻く |
鈴木寛
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狐狸河童民話の村に雪降れり |
野村親信 |
<その他の入選> 19句 |
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百年の梅寒肥を惜しみなく |
小森葆子
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わが飛機の影のみ動く雪の原 |
小森葆子
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菅公の歌碑の辺早も梅ふふむ |
鈴の木正紘
|
ふるさとの山の一つに梅探る |
野村親信
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線路脇行き場なきかに雪残る |
本多悠天
|
ゆくりなく滝に会ひもし梅探る |
本多悠天
|
せせらぎの音に沿ひつつ梅探る |
宮崎勉
|
餌撒くを知るかに今朝も寒雀 |
深谷美智子
|
この茶屋の饂飩も目あて探梅行 |
鈴木寛
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永平寺不意に肩打つしづり雪 |
鈴木寛
|
高高と畝青青と葱畑 |
鈴木康允
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トンネルを出でて一変雪景色 |
山崎圭子
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はからずも弘法の井戸梅探る |
山崎圭子
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さし渡る月光蒼き雪の原 |
鈴木六花
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初雪に童のごとく浮きたちぬ |
杉原洋馬 |
蕗の薹雪の帽子を被りをり |
中島彩
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雨戸繰る目に突然の銀世界 |
中島彩
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風に舞ふ枯葉にあらず群雀 |
新井康夫
|
雪だるま道路の土も混じりけり |
満江信之
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2011年11月(兼題:「冬仕度(冬支度)、冬用意」、「帰り花(返り花)」) |
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<特選> 3句 |
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合掌家萱葺き足すも冬仕度 |
山崎圭子
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落葉蹴る晴らす鬱憤なけれども |
鈴木康允 |
日の差すと野焼きの炎色失せり |
鈴木寛
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<その他の入選> 28句 |
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手庇に確(し)かと仰ぐは返り花 |
本多悠天
|
高みなる老人ホーム返り花 |
本多悠天
|
返り花けふは良きことありさうな |
鈴木康允
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犬小屋の位置替へやるも冬仕度 |
宮崎勉
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母のメモ今も頼りに冬仕度 |
小森葆子
|
手近にぞ土鍋を出すも冬用意 |
小森葆子
|
返り花ならず十月桜とや |
杉原洋馬
|
西方に富士のくつきり冬立ぬ |
杉原洋馬
|
父母の遺品整理も冬支度 |
鈴の木正紘
|
明日に出る検診結果返り花 |
鈴の木正紘
|
状差しにそのまま忘れ扇かな |
新井康夫
|
災害に傷みし梨の返り花 |
鈴木寛
|
日和よし庭を巡れば返り花 |
深谷美智子
|
新しき眼鏡に慣れず日短 |
深谷美智子
|
茶の花やうつむくもあり反るもあり |
深谷美智子 |
蹲踞の水の新し竹の春 |
深谷美智子
|
家小さくとも冬支度それなりに |
市川毅
|
震災地いかばかりかな冬仕度 |
市川毅
|
戻り道にて出合ひもす返り花 |
鈴木六花
|
冬仕度日のあるうちにもうひとつ |
鈴木六花
|
編み物の本買ふことも冬仕度 |
野村親信
|
今年はも庭師を入れず冬支度 |
野村親信 |
二の丸の跡の庭園返り花 |
山崎圭子
|
義央忌墓所につつじの返り花 |
山崎圭子
|
こふのとり飛びかふ空に冬の虹 |
宮田望月
|
今日こそと日差しを待ちて冬支度 |
中島彩
|
落葉掃く落葉に話しかけもして |
中島彩
|
黄金の雨ふるごとく銀杏散る |
中島彩
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2011年9月(兼題:蜻蛉、秋) |
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<特選> 3句 |
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末広に棚田千枚豊の秋 |
山崎圭子
|
ひと畝を残して仕舞ふ秋の暮 |
鈴木康允 |
蝉むくろコロンと腹を天に向け |
杉原洋馬
|
<その他の入選> 22句 |
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ホツプステツプ水面をたたく蜻蛉かな |
本多悠天
|
野路行くやいつしか増ゆる赤トンボ |
小森葆子
|
秋の蚊の音幽けくもしゆうねかり |
小森葆子
|
地下出でて日は眩しくも風は秋 |
小森葆子
|
東京にも蜻蛉の群るる空のある |
野村親信
|
水澄める川辺に古りぬ万葉碑 |
野村親信
|
子供らの泥んこ遊び水温む |
鈴の木正紘
|
頬杖をつける推敲秋灯下 |
鈴の木正紘
|
休めたる鍬に止まれる蜻蛉かな |
鈴木康允
|
秋風や病気の友のことをふと |
宮崎勉
|
虚ろなる心にしみる秋の風 |
宮崎勉
|
沖を向く人影ふたつ秋の浜 |
深谷美智子
|
真夜覚めて枕辺に聞く虫の声 |
深谷美智子
|
この歩板八丁蜻蛉観よとこそ |
山崎圭子
|
赤とんぼ行きつ戻りつ富士裾野 |
中島彩
|
虫の音の殊に澄むなる夜明け前 |
中島彩 |
草むらにせせらぎの音とんぼ飛ぶ |
鈴木六花
|
伸ばす手に葉洩日揺るる葡萄狩 |
鈴木寛
|
鬼笑ふ如く割れたる柘榴かな |
鈴木寛
|
目の合ひてトンボは頭かしげけり |
満江信之
|
葦原の秋の入日に櫓を早やむ |
宮田望月
|
今日の空愁ひなきかに澄みわたる |
新井康夫
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2011年7月(兼題:心太、黴) |
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<特選> 3句 |
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新書売る黴の臭へる古本屋 |
本多悠天
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心太流れのごとく突き出さる |
山崎圭子 |
悔やまれるあの一言や心太 |
鈴木寛
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<その他の入選> 20句 |
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黴払ふ甲乙丙の通信簿 |
野村親信
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一突きに三十二本心太 |
野村親信
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心太武骨なりける茶屋主 |
野村親信
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たわいなき噂話や心太 |
鈴の木正紘
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カナカナの谷一面に響交へる |
杉原洋馬
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わさび海苔たつぷり添へて心太 |
小森葆子
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過去帳に黴の臭ひの無くもなし |
小森葆子
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古書店の一歩に黴の臭ひけり |
小森葆子
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どこにかは黴のにほへる更衣室 |
市川毅
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心太一本箸を作法とす |
鈴木康允
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黴の香のあれど落ち着く我が小部屋 |
宮崎勉
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かくまでも夕日が焦がす麦の秋 |
宮崎勉
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再会や昔変はらぬ心太 |
中島彩
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十王堂黴の臭ひのあるはあり |
山崎圭子
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酢醤油は母の塩梅心太 |
鈴木六花
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今言ひし事なんだつけ心太 |
鈴木六花
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開け放つ黴の匂ひを払はんと |
深谷美智子
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仕舞ひ置きゐしブランドの品に黴 |
満江信之
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歯応へといふものあらず心太 |
新井康夫
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浮人形掬ひといふも祭店 |
中野美奈子
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2011年5月(兼題:五月雨、竹の子) |
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<特選> 3句 |
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ふらここの影の伸びたり縮んだり |
山崎圭子 |
筍の掘つて欲しげに顔を出す |
市川毅 |
母の日に母になるとの知らせかな |
鈴の木正紘 |
<その他の入選> 21句 |
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黙々と行き交ふ傘や五月雨 |
鈴木康允
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届きたる筍土のにほひけり |
小森葆子
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筍の戸板に並ぶ無人店 |
小森葆子
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筍を自由に掘れと鍬までも |
小森葆子
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石畳その隙間より今年竹 |
本多悠天
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五月雨るる利根の堤の低きかな |
本多悠天
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五月雨や町をつらぬく濁り川 |
野村親信
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丘統ぶる白き寺院や風光る |
宮崎勉
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風薫るセーヌの河畔もとほれり |
宮崎勉
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いや白き少女の腕更衣 |
深谷美智子
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御油に古る傾城の墓さみだるる |
山崎圭子
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尺取虫(しゃくとり)の瓦礫の山を縫ひにけり |
中野美奈子
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朝堀りの竹の子抱へ友来たる |
鈴木六花
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卯の花の滝のごとくに咲きなだる |
杉原洋馬
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見渡せばパステルカラー山笑ふ |
杉原洋馬
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十薬の際立つ花の白さかな |
中島彩
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凛として深紫の花菖蒲 |
中島彩
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筍を置けばそのまま姫人形 |
鈴木寛
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五月雨や縁側で切る足の爪 |
鈴木寛
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五月雨や門灯映す石畳 |
満江信之
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空豆の茹で加減よし麦酒よし |
新井康夫
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2011年3月(石鹸玉、水温む) |
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<特選> 3句 |
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洗たくの手を止め母もしやぼん玉 |
野村親信 |
耕すや老いを感じる暇もなく |
鈴木康允 |
一振りの打球鋭く風光る |
鈴の木正紘 |
<その他の入選> 25句 |
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富士めがけ浜辺に吹けるしやぼん玉 |
本多悠天
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群るるなる鯉の彩り水温む |
本多悠天 |
かがよひて飛び行く風のしやぼん玉 |
野村親信 |
山葵田の光り溢るる水豊か |
宮崎勉 |
末の子のはにかみ吹けるしやぼん玉 |
宮崎勉 |
男飯作る厨房水温む |
鈴木康允 |
消ゆるまで一つを追ひぬシヤボン玉 |
鈴木康允 |
シヤボン玉ふはりと垣を越えゆけり |
小森葆子
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吹き加減覚えて楽しシヤボン玉 |
小森葆子 |
棒切れを流す子供ら水温む |
深谷美智子
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つぶらなる碧きひとみやいぬふぐり |
深谷美智子 |
鯉の跳ね不忍池(しのばず)の水温みけり |
鈴木寛 |
甲羅干す亀ゐて池の水温む |
鈴木寛 |
どこからともなく流れ来石鹸玉 |
新井康夫 |
しやぼん玉姉追へばまた妹も |
山崎圭子
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しやぼん玉合戦子らの吹き合ひて |
山崎圭子 |
眉を寄せ口を尖らせしやぼん玉 |
山崎圭子 |
暖房を切る被災者の映像に |
杉原洋馬
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きらきらと光る川面や水温む |
鈴木六花 |
水尾を引く水禽親子水温む |
鈴木六花 |
この里に嫁御来たると山笑ふ |
鈴の木正紘
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引き込める棚田の水も温みけり |
中島彩 |
膝の上(え)にしばし抱きもし雛納む |
満江信之
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霜柱音確かめたくて踏んでみる |
満江信之 |
手洗ひの幼子に水温みけり |
満江信之 |
2011年1月(兼題:日脚伸ぶ、マスク) |
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<特選> 3句 |
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日脚伸ぶもう一畝と鍬入るる |
小森葆子 |
マスクして暫し無口の子となれり |
野村親信 |
連凧の階段めきて天に伸ぶ |
本多悠天 |
<その他の入選> 24句 |
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目礼に目礼返すマスクかな |
小森葆子 |
福耳の掛けやすげなるマスクかな |
小森葆子 |
埃舞ふ朝の光や春立ぬ |
深谷美智子 |
リハビリの母の歩みや日脚伸ぶ |
深谷美智子 |
日脚伸ぶお砂場遊びまだ続き |
深谷美智子 |
日脚伸ぶ猫はしきりに毛繕ひ |
野村親信 |
遠目にし白さ際立つマスクかな |
鈴木康允 |
横道に逸れもす散歩日脚伸ぶ |
宮崎勉 |
故郷の星満天の聖夜かな |
宮崎勉 |
さよならと別れのマスク外しけり |
鈴の木正紘 |
干し物を取り込むころや日脚伸ぶ |
鈴の木正紘 |
日脚伸ぶ買物帰りの立ち話 |
市川毅 |
退院の見通し立ぬ日脚伸ぶ |
山崎圭子 |
律儀さの窺ひ知れるマスクかな |
山崎圭子 |
日脚伸ぶボールを追へる少年に |
本多悠天 |
読み返す病床からとある賀状 |
杉原洋馬 |
息白し散歩の犬も共々に |
杉原洋馬 |
日々励むリハビリ日脚のびにけり |
鈴木寛 |
餅花や昔ながらの三年坂 |
鈴木寛 |
赤信号マスクの並ぶ交差点 |
満江信之 |
マスク降りマスク乗り込む朝の駅 |
鈴木六花 |
日脚伸ぶ一駅先の店寄らん |
新井康夫 |
カップ上げあわてて外すマスクかな |
中島彩 |
ゆくりなく富士をスケッチ始めかな |
中島彩 |
2010年11月(兼題:七五三、小春) |
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<特選> 3句 |
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高鳴れる津軽三味線外は雪 |
小森葆子 |
玉串を置く台低く七五三 |
山崎圭子 |
一葉の住みし路地より七五三 |
本多悠天 |
<その他の入選> 22句 |
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旅にして信濃の秋を惜しみけり |
宮崎勉 |
人けなき寺苑に響く僧都かな |
宮崎勉 |
袴着や裾をはしょりて鳩追へり |
小森葆子 |
手のかかる息子と言ひて松手入 |
小森葆子 |
目当てとすどぶろく祭飛騨の旅 |
鈴の木正紘 |
石段に裾を絡げて七五三 |
鈴木康允 |
衣被ぎ熱熱を剥き杯すすむ |
鈴木康允 |
付き添へる大人六人七五三 |
深谷美智子 |
ほほ紅も口紅もさし七五三 |
深谷美智子 |
小春日や耳よく動く眠り猫 |
本多悠天 |
抱かる子の人形めくや七五三 |
新井康夫 |
手を放し跳ねまはりをり七五三 |
市川毅 |
その紫紺秘宝めくなる竜の玉 |
野村親信 |
はにかめる羽織袴や七五三 |
中島彩 |
紅葉よし辺りの緑あらばこそ |
中島彩 |
母の紅さされて嬉し七五三 |
山崎圭子 |
輝くは名残りの銀杏黄葉かな |
杉原洋馬 |
千歳飴引き摺りながら社殿下る |
鈴木寛 |
境内の千年欅七五三 |
鈴木寛 |
塀越しに声交し合ふ落葉掻き |
鈴木六花 |
風なくも金木犀のよく匂ふ |
満江信之 |
遠拝み初冠雪の御岳を |
宮田望月 |
2010年9月(爽やか、彼岸花・曼珠沙華) |
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<特選> 3句 |
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雨ながら燃え拡ごりぬ曼珠沙華 |
本多悠天 |
七草に数へられねど吾亦紅 |
杉原洋馬 |
秋爽やものみな影を濃くしたる |
深谷美智子 |
<その他の入選> 24句 |
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涼新た湧き水掬(きく)す掌 |
鈴木康允 |
空真青つととどまれる赤蜻蛉 |
宮崎勉 |
群れ離れひとつ飛び火の曼珠沙華 |
小森葆子 |
虫の声今宵新たに加はるも |
小森葆子 |
三つのみ打ちそれつきり鉦叩 |
小森葆子 |
SLの汽笛響かせ天高し |
宮田望月 |
爽やかや靴音ひびく駅の朝 |
鈴の木正紘 |
曼珠沙華残して畦の刈られけり |
鈴の木正紘 |
爽やかな朝の挨拶見知らぬ子 |
鈴の木正紘 |
金輪際紅を尽くせる曼珠沙華 |
本多悠天 |
浄瑠璃姫入水の池畔曼珠沙華 |
山崎圭子 |
水澄める小町化粧(けはひ)の井戸とこそ |
山崎圭子 |
秋冷や蛇口の水の温きかな |
杉原洋馬 |
朱の帯を延べたるがごと曼珠沙華 |
満江信之 |
爽やかや笑顔の羅漢見つけたり |
満江信之 |
爽やかや澪一筋に船の航く |
野村親信 |
曼珠沙華線路に沿へる山の墓地 |
鈴木寛 |
今日の月いま茅葺の屋根の上 |
鈴木寛 |
夜勤明け朝(あした)の鐘の爽やかに |
新井康夫 |
雲ひとつ従へ富士の爽やかに |
中島彩 |
ただ一本にても華やか曼珠沙華 |
中島彩 |
銀座なる画廊の壺に草の花 |
深谷美智子 |
畦真直ぐ一直線の曼珠沙華 |
鈴木六花 |
ただ口に葡萄運べる夫と居る |
鈴木六花 |
2010年7月 |
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<特選> 3句 |
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採集を禁ずる園や蝶涼し |
本多悠天 |
端坐して米寿の母の影涼し |
野村親信 |
一掃除二に勤行や寺涼し |
山崎圭子 |
<その他の入選> 19句 |
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星涼しこだはり消えてをりにけり |
吉沢美佐江 |
庵の庭涼し箒目乱れなく |
吉沢美佐江 |
夏草の伸び放題の宅地跡 |
深谷美智子 |
涼しさや水子地蔵に供華新た |
本多悠天 |
枝打たれ大樹涼しくなりにけり |
鈴木康允 |
父祖の地を巡る旅路や麦の秋 |
鈴木康允 |
六合目夏鶯の鳴き交はす |
杉原洋馬 |
鶴首の桔梗一輪凛として |
杉原洋馬 |
ふなべりを飛魚競ふ航涼し |
野村親信 |
棹涼し岩また岩の川下り |
小森葆子 |
噴水のしぶきは風に順へり |
宮崎勉 |
山内の松籟涼し寺宝展 |
山崎圭子 |
この噴水稽古せしかに曲に合ふ |
山崎圭子 |
無人駅青田の中に埋もれさう |
宮田望月 |
海原をいま渡らんと月涼し |
中島彩 |
天守閣へと噴水の届きさう |
鈴の木正紘 |
耳に追ふ一匹の蚊の行方かな |
鈴木寛 |
海野宿吹きぬける風の涼しかり |
鈴木六花 |
岩清水白馬の峰を仰ぎ飲む |
満江信之 |
2010年5月 |
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<特選> 3句 |
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家系図もともに武具をば飾りけり |
本多悠天 |
駒繋ぎ遺れる家並燕来る |
山崎圭子 |
千年家深き庇にツバメの巣 |
小森葆子 |
<その他の入選> 22句 |
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戦なき世の続けかし武具飾る |
鈴の木正紘 |
落人の里の一軒武具飾る |
野村親信 |
腹がけの金時人形武具飾る |
野村親信 |
翻る腹の白さや燕(つばくらめ) |
鈴木康允 |
卓の上のページを乱す青嵐 |
深谷美智子 |
万緑の中へと磴を登るかな |
深谷美智子 |
武者幟高しこの里統ぶるかに |
山崎圭子 |
燕の巣非常口なる灯の上に |
山崎圭子 |
楽しげに老女手拍子花筵 |
宮崎勉 |
廃校の鏝絵の龍に風光る |
宮田望月 |
童顔の五月人形見得を切る |
宮田望月 |
武具飾る戦なき世になれもして |
小森葆子 |
泥運び古巣繕ふつばくらめ |
小森葆子 |
霧迅し忽ち下界かくしけり |
小森葆子 |
咲き初めは萌黄色なり七変化 |
小森葆子 |
足もとを風の如くに燕過ぐ |
新井康夫 |
ビル街の白壁眩し五月晴れ |
新井康夫 |
入園式返事いかにも初々し |
杉原洋馬 |
完走の皇居一周風薫る |
杉原洋馬 |
青空を切るかに燕飛び交へる |
中島彩 |
児童館入るやロビーに武者人形 |
鈴木寛 |
新緑に富士近々と三つ峠 |
満江信之 |
2010年3月 |
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<特選> 3句 |
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丘統(す)ぶるかの一巨木風光る |
宮崎勉 |
バンザイの姿のこの木芽吹き急 |
小森葆子 |
菖蒲の芽不揃ひながらちょきばかり |
山崎圭子 |
<その他の入選> 20句 |
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大陸に思いを馳せぬ霾風裡(ばいふうり) |
宮田望月 |
つちふるや重げに回る観覧車 |
宮田望月 |
さながらにガラス細工の霧氷林 |
杉原洋馬 |
天平の礎石数へつ青き踏む |
山崎圭子 |
日照るとき山の煌めく雨氷かな |
満江信之 |
先頭もしんがりもなし青き踏む |
鈴の木正紘 |
一枚を脱ぎて鍬打つ蝶の昼 |
鈴の木正紘 |
余生にはあらず青きを踏みにけり |
野村親信 |
浅草の路地を狭しと猫の恋 |
小森葆子 |
靴紐を締め直しもし青き踏む |
小森葆子 |
花かとも見えさにあらず楓の芽 |
中島彩 |
芽柳に触れたく歩みゆるめけり |
中島彩 |
老い二人言葉少なに青き踏む |
深谷美智子 |
てふてふの吹きあほられて川渡る |
深谷美智子 |
銀色にうぶ毛の光る木の芽かな |
鈴木六花 |
霾(つちふる)やかつて学びし中国語 |
鈴木寛 |
春光やルノアール展出でてなほ |
鈴木寛 |
青き踏む沖に白帆を見やりつつ |
新井康夫 |
文人の墓多くして囀れり |
本多悠天 |
青き踏む一万歩とはいかずとも |
鈴木康允 |
2010年1月 |
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<特選> 3句 |
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虚子の碑にまづは挨拶初句会 |
本多悠天 |
日向ぼこ媼手仕事休みなく |
林雪音 |
初謡卒寿ながらも声につや |
小森葆子 |
<その他の入選> 16句 |
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椀の湯気際立つ朝(あした)寒の入り |
鈴木康允 |
大病の予後を大事に日向ぼこ |
宮崎勉 |
庭先に転ぶ玩具も春を待つ |
宮崎勉 |
正面に富士を仰げる日向ぼこ |
中島彩 |
夜勤終へ直ちに初湯溢れしめ |
鈴木寛 |
着ぶくれて満天の星ふり仰ぐ |
満江信之 |
山茶花の根元華やか花の塵 |
新井康夫 |
よき場所は猫に占められ日向ぼこ |
野村親信 |
藁苞に匿(かくま)はるかの寒牡丹 |
山崎圭子 |
豚汁の大鍋待つは寒泳子 |
山崎圭子 |
棒を持つ吾(あ)を睨むかの寒鴉 |
市川毅 |
寒念仏ジャズの流るる路地にまで |
鈴の木正紘 |
日向ぼこ話またもや後もどり |
深谷美智子 |
大寒や母直伝の小豆煮る |
鈴木六花 |
日向ぼこ移ろひやすき日を追ふて |
杉原洋馬 |
日向ぼこ白き遠山まぶしみて |
鈴木康允 |
2009年11月 |
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<特選> 3句 |
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日本晴れなり富士山に神還る |
山崎圭子 |
龍神は発たれたかしら鏡凪 |
山崎圭子 |
たぎる湯の音に聞き入る霜夜かな |
深谷美智子 |
<その他の入選> 24句 |
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飛ぶよりも駆ける千鳥の様が好き |
本多悠天 |
水際に張り出す紅葉なべて濃し |
本多悠天 |
電飾の紅葉の映ゆる湖面かな |
宮崎勉 |
山茶花の散り敷きてなほ咲き盛る |
宮崎勉 |
雨音の滲み入ることよ落葉径 |
宮崎勉 |
あちこちで歓声あがるみかん狩り |
中島彩 |
村役の今日も出て掃く神の留守 |
宮田望月 |
テラス隅盆栽ながら紅葉す |
満江信之 |
ちぎれゐし鈴の緒替ふる神の留守 |
野村親信 |
手土産に地酒買ひもす紅葉狩り |
鈴木康允 |
切り通し小春の海へ抜けにけり |
深谷美智子 |
早々と木枯し一号雨戸鳴る |
新井康夫 |
建設の予定地とあり霜柱 |
山崎圭子 |
雪吊りの頂点たぶさなせりけり |
山崎圭子 |
風に絵馬鳴り続けゐる神の留守 |
林雪音 |
霜を踏む音に始まる朝かな |
林雪音 |
山門の外まで香る菊花展 |
林雪音 |
傾ける陽に穂薄の眩しかり |
杉原洋馬 |
谷戸紅葉半ば緑のまじるよし |
杉原洋馬 |
いつもせし母を偲びつ霜囲 |
市川毅 |
夕日をば抱くかの紅葉いよよ濃し |
鈴木六花(りっか) |
サイレンに犬遠吠えす霜夜かな |
鈴木寛 |
対岸のクレーン林立天高し |
小森葆子 |
黄葉(もみじ)すも未だもありたる銀杏かな |
小森葆子 |
2009年9月 |
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<特選> 3句 |
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凭れゐて休めの態(てい)の案山子かな |
山崎圭子 |
規格あるかにこの園の松手入れ |
小森葆子 |
松手入れまづは副木の手入れから |
野村親信 |
<その他の入選> 27句 |
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手をつなぎ親子と見ゆる案山子かな |
小森葆子 |
園児らの作品といふ案山子かな |
深谷美智子 |
屹立の白銀のビル天高し |
深谷美智子 |
百日紅なれどもこれは花白し |
新井康夫 |
長袖を引っ張り出しぬ秋の雨 |
新井康夫 |
グライダー飛ぶ大利根の天高し |
本多悠天 |
これはまた宇宙服なる案山子かな |
本多悠天 |
利根の土手秋の草花宝庫かな |
本多悠天 |
鬼竜子の蹴上ぐる天の高きかな |
山崎圭子 |
秋天を分けゆくさまの飛行雲 |
山崎圭子 |
油絵の紅重ね塗る曼珠沙華 |
宮崎勉 |
聖堂の十字架仰ぐ天高し |
中島彩 |
揺れかはすコスモスやさし石畳 |
中島彩 |
楽聖の散歩道とや秋の草 |
中島彩 |
ふるさとの山高くして天もなほ |
野村親信 |
自分史を今し書き終へ爽やかに |
野村親信 |
海原に著(しる)き航跡天高し |
野村親信 |
反射光撒けるCD鳥威し |
鈴木寛 |
赤い血を噴きあぐるかに曼珠沙華 |
鈴木寛 |
お早うを交はすジョギング爽やかに |
満江信之 |
志ん朝をCDで聴く夜長かな |
宮田望月 |
家中の和服あつらふ七五三 |
宮田望月 |
盆栽の松ねんごろに手入れかな |
市川毅 |
こちら向く案山子に言葉掛けにけり |
市川毅 |
牛蒡掘る背丈隠るるほど深く |
鈴木康允 |
背負(しょひ)帰る朝採野菜赤とんぼ |
鈴木康允 |
昨日グー今朝はパーなる桔梗かな |
杉原洋馬 |
2009年7月 |
|
<特選> 3句 |
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風鈴の夜は夜の音色とはなれり |
鈴木寛 |
着飾れる花魁めける金魚かな |
本多悠天 |
雲水の身ほとり殊に涼しかり |
小森葆子 |
<その他の入選> 22句 |
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錆浮くも南部風鈴音のよろし |
杉原洋馬 |
川に鯉泳げる町に帰省かな |
本多悠天 |
父の忌を修す早めの帰省かな |
新井康夫 |
ふと目覚む月下美人の残り香に |
新井康夫 |
コロッセオの片蔭にゐて我小さし |
宮崎勉 |
つぎつぎと風吹き渡る青田かな |
中島彩 |
飛入りの担ぎ手まじる神輿かな |
小森葆子 |
婚約者連れての帰省とはなりぬ |
小森葆子 |
母すでに亡くて遠のく帰省かな |
市川毅 |
風鈴や板張りの縁懐かしく |
市川毅 |
母親となりて帰省の娘の眩し |
山崎圭子 |
我の句を吊る風鈴の機嫌かな |
山崎圭子 |
足裏の白さ際立つプールの子 |
鈴木寛 |
山河あり帰省に再起誓ひもす |
野村親信 |
何祈る那由他の星の涼しさに |
野村親信 |
伯仲の鵜鷺の争ひ夏座敷 |
鈴木康允 |
風鈴の鳴るたび子犬耳立つる |
森美鎮子 |
里山や夕かなかなの遠くより |
森美鎮子 |
三年坂陶(すえ)風鈴の音色よし |
宮田望月 |
風鈴の歌はず仕舞ひ暮れにけり |
深谷美智子 |
お袋の笑顔が見たく帰省かな |
満江信之 |
穴の数さほどあらずも蝉時雨 |
満江信之 |
2009年5月 |
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<特選> 3句 |
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街中にして一枚の麦の秋 |
深谷美智子 |
筑波嶺に道真つ直ぐや麦の秋 |
鈴木寛 |
苗売りの寡黙ながらもまけくれぬ |
本多悠天 |
<その他の入選> 25句 |
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新しき街がすぐ脇麦の秋 |
宮崎勉 |
熟るゝとも垂るゝことなき穂麦かな |
山崎圭子 |
すぢ揃ふ早苗田風の梳(くしけず)る |
山崎圭子 |
行燈の如囲はるゝ西瓜苗 |
山崎圭子 |
麦踏や大地の力信じをり |
市川毅 |
花鉢の並ぶテラスに茄子の苗 |
市川毅 |
つと止まり左右(さう)を窺ふ蜥蜴かな |
杉原洋馬 |
蟻となり潜ってみたしキツリフネ |
杉原洋馬 |
トロ箱に売苗行儀よく並ぶ |
中島彩 |
目指せるはゴーヤカーテン苗を買ふ |
中島彩 |
十薬の十の字の花の白さかな |
中島彩 |
三坪がほどの畑も麦の秋 |
鈴木康允 |
異常なく終へし健診夕桜 |
鈴木康允 |
フェアウェイに球あらばこ風薫る |
鈴木寛 |
ル−ブル展列ぶ上野の杜五月 |
鈴木寛 |
苗箱に早も花つけゐたるあり |
林雪音 |
売れ残りゐて蔓のばす瓜の苗 |
林雪音 |
白昼やまぶしきほどに麦熟るる |
新井康夫 |
山門を遠くに望む山桜 |
新井康夫 |
鍬の柄にリボン結ばる植樹祭 |
本多悠天 |
刈跡に雀群がる麦畑 |
深谷美智子 |
ここ濃尾平野植田のどこまでも |
宮田望月 |
プランターの寸土にハーブ苗育つ |
小森葆子 |
花の店丈の低きは野菜苗 |
小森葆子 |
麦秋や筑波嶺(つくば)へ雲のゆっくりと |
小森葆子 |
2009年3月 |
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<特選> 3句 |
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豆ほどの雛調度にも葵紋 |
小森葆子 |
校庭を立ち去りがたき卒業子 |
深谷美智子 |
春愁や手習ひの筆とれどなほ |
鈴木康允 |
<その他の入選> 22句 |
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卒業の子らに託する未来かな |
市川毅 |
菅公の見そなはします梅早し |
宮崎勉 |
行く水のやさしかれとぞ雛流す |
小森葆子 |
再会を固く約して卒業す |
小森葆子 |
門出れば道はそれぞれ卒業す |
深谷美智子 |
猛獣の檻の中にも萌ゆるもの |
深谷美智子 |
文集の夢はさまざま卒業す |
山崎圭子 |
重文の校門くぐり卒業す |
山崎圭子 |
点にして目鼻立ち良く豆雛 |
山崎圭子 |
道しるべ無き世へ君ら卒業す |
鈴木康允 |
ビロードをまとへるごとし辛夷の芽 |
鈴木康允 |
町おこしどの店先も雛飾る |
宮田望月 |
それぞれに花束貰ひ卒業す |
林雪音 |
剪定の手もとを掠む鳥の影 |
林雪音 |
ケイタイに初蝶しかと撮りにけり |
鈴木寛 |
煮こごりのふるへつ飯の上(え)に融けぬ |
鈴木寛 |
ジーパンを袴に替へて卒業す |
本多悠天 |
ねんごろに皺を伸ばして若布干す |
本多悠天 |
雪洞の灯に映ゆるなる雛かな |
杉原洋馬 |
落椿しべの黄色の褪せてゐず |
杉原洋馬 |
掌に収まるほどの雛かな |
中島彩 |
里歩き蒲公英すみれ蓮華草 |
中島彩 |
2009年1月 |
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<特選> 3句 |
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駆寄る児抱き留む母も息白し |
山崎圭子 |
馬場に出る乗り手も馬も息白し |
林雪音 |
水底に揺らぐものあり水温む |
小森葆子 |
<その他の入選> 25句 |
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河豚雑炊うまし鍋底まで浚ひ |
林雪音 |
アメ横や値切り値切らる息白し |
本多悠天 |
日脚伸ぶ隅々巡る自然園 |
本多悠天 |
菰被り一家族めく寒牡丹 |
本多悠天 |
息白く一番列車待ちにけり |
小森葆子 |
泉岳寺墓参の役者息白し |
宮田望月 |
揺れゆれて空を掃くかの枯木かな |
宮田望月 |
熱く説く人種問題息白し |
山崎圭子 |
日脚伸ぶあと一畝を整へん |
山崎圭子 |
魚河岸の競り合ふ人ら息白し |
杉原洋馬 |
夕刊を読みゐる窓辺日脚伸ぶ |
杉原洋馬 |
日脚伸ぶ絵筆持つ手のねんごろに |
鈴木康允 |
頬赤き登校の子等息白し |
鈴木寛 |
日の丸を畳む祝日日脚伸ぶ |
鈴木寛 |
玄関に置くべビーカー春を待つ |
深谷美智子 |
豆を煮る厨の匂ひ年用意 |
深谷美智子 |
登校の子らに割らるる初氷 |
深谷美智子 |
朝まだき厩舎の馬の息白し |
市川毅 |
書初めや古筆のさばき手本とし |
市川毅 |
いつまでも車窓に富士や日脚のぶ |
森美鎮子 |
アドバルーン真直ぐに上がる冬日和 |
森美鎮子 |
鼻歌の出てくる散歩日脚伸ぶ |
中島彩 |
冬晴れや富士の姿のすっきりと |
中島彩 |
我よりも先行く犬の息白し |
宮崎勉 |
寒波くる坂より富士のよく見えて |
宮崎勉 |
2008年11月 |
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<特選> 3句 |
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メモ通りおでんを温め一人酌む |
山崎圭子 |
お国振り味噌派辛子派おでん酒 |
山崎圭子 |
がんも好きこんにゃくも好きおでん鍋 |
小森葆子 |
<その他の入選> 23句 |
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宿下駄の爪先濡らす時雨かな |
林雪音 |
おでん鍋温め直す留守居かな |
林雪音 |
声高に応ふ声高おでん酒 |
本多悠天 |
ロダン像顎より雫冬の雨 |
本多悠天 |
自然薯のあると知らるる蔓黄葉 |
宮田望月 |
我が家風談義となれるおでんかな |
山崎圭子 |
鳥の羽載れる餌台に時雨けり |
杉原洋馬 |
土手道をすつかり覆ふ落葉かな |
杉原洋馬 |
山茶花の散り敷く上になほも散る |
新井康夫 |
並木今黄金の落葉畳なす |
新井康夫 |
家族とて好みそれぞれおでん煮る |
鈴木康允 |
秋天をつきぬけるかのポプラかな |
鈴木康允 |
おでん手に八丁味噌の国自慢 |
鈴木寛 |
おでん鍋温めなおす昼餉かな |
深谷美智子 |
来し方を語る横顔おでん酒 |
深谷美智子 |
ことさらの富士の麗姿や冬はじめ |
深谷美智子 |
靴ぬげて泣ける園児も運動会 |
市川毅 |
妻遠出昨夜(よべ)よりおでん作りおき |
森美鎮子 |
時雨亭出づる折しも時雨かな |
中島彩 |
音も無く肩を濡らせる時雨かな |
中島彩 |
飾り窓ポインセチアに灯のともる |
中島彩 |
佇つ我に水尾を引き来る鴨親し |
宮崎勉 |
木漏れ日や落葉を踏めば温かく |
宮崎勉 |
2008年9月 |
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<特選> 3句 |
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菊人形「武蔵遅い」と見据ゑたる |
宮崎勉 |
立錐の余地無し畦の曼珠紗華 |
宮田望月 |
叩かずに線路を走る石叩き |
本多悠天 |
<その他の入選> 25句 |
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コスモスを好きに咲かせて山住ひ |
林雪音 |
点滴のしづくの刻む夜長かな |
林雪音 |
声すれどコスモス畑に児の見えず |
本多悠天 |
アルバムの整理などして夜長かな |
本多悠天 |
そよぐたび野仏撫づる秋桜 |
小森葆子 |
帰るあり来るあり夜長酌み交はす |
小森葆子 |
長き夜や長編いよよ佳境なる |
小森葆子 |
一人居の好きなことして夜長かな |
宮田望月 |
田ごとなる赤き縁取りまんじゅしゃげ |
宮田望月 |
コスモスを渡りきたれる風やさし |
山崎圭子 |
コスモスの倒れてをれど花あまた |
杉原洋馬 |
虫の音のしげし頭上の枝からも |
杉原洋馬 |
山の花図鑑に探る夜長かな |
杉原洋馬 |
読み止しの書物に向かふ夜長かな |
新井康夫 |
ワイン酌み友と語らふ夜長かな |
鈴木康允 |
嬉々として鷺は苅田を漁りけり |
鈴木康允 |
看護婦の足しのばする夜長かな |
鈴木寛 |
長き夜の長き身の上話かな |
深谷美智子 |
ひとしきり風に乱れて秋桜 |
深谷美智子 |
同期会話し尽きざる夜長かな |
市川毅 |
辞書片手パズル楽しむ夜長かな |
森美鎮子 |
しばらくはコスモスに沿ふ通学路 |
森美鎮子 |
とりどりのコスモスの色風に揺れ |
中島彩 |
夏の家解かれて浜の広きこと |
中島彩 |
倒れても地を這ひ起きる秋桜 |
宮崎勉 |
2008年7月 |
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<特選> 3句 |
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外灯の一斉に点く夜涼かな |
鈴木寛 |
をみな等は意気高くしてビール干す |
林雪音 |
屋形船櫛比(しっぴ)に舫ひ鵜飼待つ |
山崎圭子 |
<その他の入選> 25句 |
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ビール酌み合ひていよいよ座のほぐれ |
林雪音 |
崩れんとして輝ける雲の峰 |
林雪音 |
咽にしむビール最初の一杯目 |
本多悠天 |
犬吠の三方は海雲の峰 |
本多悠天 |
星に触れさうな屋上ビアガーデン |
小森葆子 |
下戸なれどビール片手の宴楽し |
小森葆子 |
放牛の散らばる牧場雲の峰 |
小森葆子 |
高層のビルを低しと雲の峰 |
小森葆子 |
港には港の風やビール飲む |
宮田望月 |
ともあれの乾杯高くビール干す |
山崎圭子 |
盛り上がる泡を一吹きビール干す |
杉原洋馬 |
雲の峰夕陽に染まりなほ立てり |
杉原洋馬 |
久々や息子相手にビール飲む |
新井康夫 |
向日葵の背の高きほど花大き |
新井康夫 |
六十路には六十路の青春ビール干す |
鈴木康允 |
野良仕事老鶯しきり鳴く朝(あした) |
鈴木康允 |
泡髭をつけて笑顔のビールかな |
鈴木寛 |
ひた走る湾岸道路雲の峰 |
深谷美智子 |
カーテンを揺らす風ある午睡かな |
深谷美智子 |
一訃報ビール苦しと思ひけり |
市川毅 |
黴の香もなつかし生家築百年 |
野村親信 |
座るなりまづはビールの声の飛ぶ |
中島彩 |
雲の峰大草原の果てしなく |
中島彩 |
病室の窓の高さに雲の峰 |
宮崎勉 |
この暑さ木陰移れば犬もまた |
宮崎勉 |
2008年5月 |
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<特選> 3句 |
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緑陰や野外授業の一クラス |
山崎圭子 |
蝌蚪よりも小さき蛙となりにけり |
杉原洋馬 |
教室の明るくなりぬ衣替 |
深谷美智子 |
<その他の入選> 18句 |
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とれかけの釦に気づく更衣 |
鈴木寛 |
乱暴に風駆けぬけり麦の秋 |
鈴木寛 |
仕舞ひ湯に千切れ菖蒲のなほ香る |
大野朝香 |
早苗待つ田のしろしろと水明り |
大野朝香 |
赤らめる根茎嗅ぎもす菖蒲の湯 |
本多悠天 |
衣更お下がり丁度よき丈に |
小森葆子 |
曲家の軒の低きに菖蒲葺く |
小森葆子 |
きょうも雨予定たたざる衣更 |
宮田望月 |
うぐひすやいつしか雨の上がりをり |
宮田望月 |
尼様は黒から黒へ更衣 |
山崎圭子 |
脱ぎっぷりよきもしぶるも竹の皮 |
山崎圭子 |
交番のお巡りさんも衣更 |
新井康夫 |
鶯の声のしきりや山の寺 |
新井康夫 |
あでやかさ競ひ合ふかの花菖蒲 |
鈴木康允 |
お茶会に参る衣を更へにけり |
鈴木康允 |
暗闇に匂ふてくるは花蜜柑 |
森美鎮子 |
部屋になほ樟脳の香や衣替 |
深谷美智子 |
翡翠の一閃の色目に確(しか)と |
深谷美智子 |
2008年3月 |
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<特選> 3句 |
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ふとおん目覚まされさうな寝釈迦かな |
山崎圭子 |
梅林これも豪農邸うち |
小森葆子 |
菖蒲の芽八橋高く架かりけり |
本多悠天 |
<その他の入選> 20句 |
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夜半の雨木々の芽吹ける気配かな |
小森葆子 |
童謡を口ずさみつつ青き踏む |
中島彩 |
早春の花おしなべて黄色かな |
中島彩 |
ひとひらのただひとひらの落花舞ふ |
中島彩 |
日の差すと火色の褪せぬ春暖炉 |
林雪音 |
野蒜の根大地掴むも深からず |
林雪音 |
芽柳の緑深まる雨上がり |
新井康夫 |
雛仕舞ふ娘に嫁ぐ気の有りや無し |
鈴木康允 |
マンホール蓋の隙間に芽吹くもの |
山崎圭子 |
苔鎧ふ老幹にして濃紅梅 |
山崎圭子 |
背伸びするかに諸枝の芽吹きけり |
森美鎮子 |
固き芽の静かに力ひそむかに |
深谷美智子 |
いぬふぐり瑠璃を撒きたるごときかな |
深谷美智子 |
毛衣のごときを割りて新芽出づ |
大野朝香 |
庭中の赤い実ヒヨが食べ尽くし |
大野朝香 |
雑木山けぶるがごとく芽立けり |
鈴木康允 |
スキップの子もゐて青き踏みにけり |
鈴木康允 |
残月に白木蓮の白妖し |
宮田望月 |
風のまだ痛しバラの芽赤らめど |
杉原洋馬 |
船を下り離宮の跡の青き踏む |
杉原洋馬 |
2008年1月 |
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<特選> 3句 |
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寒紅をさして人形仕上げとす |
山崎圭子 |
托鉢の僧列よぎる息白し |
森美鎮子 |
とりわけてメタセコイアの冬木立 |
杉原洋馬 |
<その他の入選> 35句 |
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寒卵かざせばほのか黄身の色 |
林雪音 |
曇天の底焦がすかのどんどかな |
林雪音 |
山向かうなる左義長の匂ひ来ぬ |
林雪音 |
鉄路にぞ触れては消ゆるぼたん雪 |
林雪音 |
大寒や中天に月煌々と |
中島彩 |
干大根思ひ思ひの向きに反り |
中島彩 |
漆黒の海に真向かひ初日待つ |
森美鎮子 |
蝋梅の香をこころあて回り道 |
杉原洋馬 |
寒ばらの棘に鮮血ふき出しぬ |
杉原洋馬 |
自転車で急ぐ力士の息白し |
本多悠天 |
寒鯉の鰭のゆらりと動きけり |
本多悠天 |
寒晴に櫓太鼓の響きけり |
本多悠天 |
朝刊を取りに出づれば息白し |
新井康夫 |
開きゐる寒紅梅の二つ三つ |
新井康夫 |
風の朝雪の遠富士くっきりと |
新井康夫 |
大寒や鈍色の空低く垂れ |
新井康夫 |
東雲の富士に柏手年明くる |
鈴木康允 |
湯煙と古寺を巡りて去年今年 |
鈴木康允 |
寒雷や暁の一つのそれっきり |
山崎圭子 |
寒晴れや富士の稜線きはだちぬ |
小森葆子 |
池底に頭寄せ合ふ寒の鯉 |
小森葆子 |
散歩せる犬も少女も息白し |
小森葆子 |
渦巻いて落葉駈け行く石畳 |
小森葆子 |
老婆心ながらとありぬ寒見舞 |
田中順 |
頬赤き登校の子の息白し |
鈴木寛 |
白息の掛け声力ありにけり |
鈴木寛 |
またひとひ生きめや寒の水甘し |
宮田望月 |
寒茜富士をひときは染めにけり |
深谷美智子 |
息白く共にあいさつ交はしけり |
深谷美智子 |
寒ながら海の輝く伊豆に旅 |
宮崎勉 |
朝市女勧め上手の息白し |
宮崎勉 |
鳩の足殊更赤く寒の入り |
大野朝香 |
寒風に挑むが如く鴉翔ぶ |
大野朝香 |
あやせるが如く糸出し凧揚ぐる |
大野朝香 |
すきま無きほどなる蕾梅古木 |
大野朝香 |
2007年11月 |
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<特選> 3句 |
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酉の市出づれば路地の闇深し |
小森葆子 |
遠拝みして山門の落葉掻く |
林雪音 |
通夜寒し昔なじみのかたまりて |
田中順 |
<その他の入選> 25句 |
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コンサート帰りの道に落葉舞ふ |
鈴木康允 |
箒持つ背に散りかかる落葉かな |
満江信之 |
空青き安達太良山の紅葉かな |
満江信之 |
それぞれの軌跡を描き落葉降る |
宮田望月 |
普段着のままに参るも七五三 |
本多悠天 |
音たてて踏みゆく落葉畳かな |
本多悠天 |
掃けどなほきりなき欅落葉かな |
深谷美智子 |
深々と銀杏落葉の散り敷ける |
深谷美智子 |
重たげの長き袂や七五三 |
深谷美智子 |
犬を連れ雑木林の落葉踏む |
宮崎勉 |
尾根道を行くふかぶかの落葉踏み |
杉原洋馬 |
立冬やもやに突き出づビルの群 |
杉原洋馬 |
孤高なる朴は落葉を尽くしけり |
山崎圭子 |
白白となぞへになだる朴落葉 |
山崎圭子 |
兄の手を握りしめゐる七五三 |
中島彩 |
箒目の新たな上にまた落葉 |
中島彩 |
袴着の神妙にして撮られけり |
鈴木寛 |
落葉掻く音のみ坊のしづけさに |
鈴木寛 |
電飾の日暮れを待たず街師走 |
林雪音 |
尾根を越へ悠然と鷹現はるる |
林雪音 |
ぺコちゃんの晴着姿や七五三 |
小森葆子 |
酒のあて湯豆腐作る一人の夜 |
新井康夫 |
抱っこさる児の抱きゐたる千歳飴 |
大野朝香 |
雨上がり落葉畳の匂ひ立つ |
大野朝香 |
日曜日猫も起き来ず朝寒し |
森美鎮子 |
2007年9月 |
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<特選> 3句 |
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少年のTシャツあせて夏終はる |
深谷美智子 |
茹でしのみなれど佳き名よ衣被 |
山崎圭子 |
剪定の脚立に立てば天高し |
大野朝香 |
<その他の入選> 26句 |
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踏切に待つ足元に草の花 |
鈴木寛 |
秋草に埋もれさうや道祖神 |
大野朝香 |
薮かげの水引草(みづひき)ことに紅の濃し |
大野朝香 |
濃き色の口紅えらぶ秋深し |
大野朝香 |
句碑歌碑を囲む秋草百花園 |
本多悠天 |
石をなほよぢ上らんと蝉の殻 |
本多悠天 |
千草にも効能しるす薬草園 |
小森葆子 |
手向けんと草の花摘む辻地蔵 |
小森葆子 |
テラスにて朝のコーヒー爽やかに |
小森葆子 |
虫かごを先づは覗ける帰宅の子 |
小森葆子 |
灯親し日に一冊を読破せむ |
宮田望月 |
爽けしや北一字なる方位盤 |
山崎圭子 |
個展する卆寿の笑顔爽やかに |
中島彩 |
名月をグラスに映し乾杯す |
中島彩 |
駅出ればにはかに高し虫の声 |
深谷美智子 |
爽やかや新居の畳拭きあげて |
深谷美智子 |
鶺鴒の尾のタクトぶり見て飽かず |
杉原洋馬 |
ここにまた蝉のむくろの転げ居り |
杉原洋馬 |
谷間(たにあひ)の寺蜩の鳴き継げり |
新井康夫 |
何となく開きて閉づる秋扇 |
新井康夫 |
珈琲の香り弥増す秋の夜半 |
新井康夫 |
土手一里歩かん秋の草数へ |
鈴木康允 |
鎌倉の大仏仰ぐ残暑かな |
田中順 |
秋の草風の揺すりて過ぎにけり |
西野恵子 |
隧道の口へと走る紅葉かな |
野村親信 |
彼岸花真っ赤な嘘を思ひけり |
みさきたまゑ |
2007年7月 |
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<特選> 4句 |
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昼寝の子縦横斜め敷居越え |
小森葆子 |
風涼し書を置き眺む木々の揺れ |
新井康夫 |
畑中の一木にして蝉時雨 |
山崎圭子 |
夜となれば風鈴外す団地住み |
小森葆子 |
<その他の入選> 25句 |
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大の字に三代並ぶ昼寝かな |
大野朝香 |
てっぺんに名残の一つ沙羅の花 |
大野朝香 |
若夫婦嬰(やや)の昼寝のお相伴 |
宮崎勉 |
千鳥塚涼し翁の筆なれば |
山崎圭子 |
翁塚守るかの欅樹下涼し |
山崎圭子 |
夕顔の雨に打たれて破れけり |
杉原洋馬 |
高層のビルの狭間の遠花火 |
杉原洋馬 |
普請場の遠き槌音昼寝覚む |
宮田望月 |
化粧塩(けはひじお)端正に鮎焼きあがる |
宮田望月 |
早起きは三文の得草を引く |
中島彩 |
安曇野のここにも湧ける清水かな |
中島彩 |
手を浸し見る日盛りの山葵田に |
中島彩 |
風涼し川に沿ふなるウォーキング |
鈴木康允 |
笹鳴ける畑へ行く道帰る道 |
鈴木康允 |
空仰ぐどこにかはある天の川 |
田中順 |